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ハンター日記

【事故記録】2019.12帯広市内中心部ヒグマ徘徊事件

更新日:

2019-12-01 No.517

2019年12月1日未明より、
北海道帯広市市内住宅地に
ヒグマが徘徊し、
同日11時に猟友会が駆除しました。

ヒグマを確認したその日の内に
駆除する。

帯広警察署と帯広猟友会の
決断と行動の速さが際立ちます。

事件を記録しておきます。

 

 

 

 

事件概要

2019年12月1日
1:50
市内西16条南31丁目の路上にヒグマ一頭を市民が確認し警察へ通報

3:50
最初の目撃箇所から北へ2キロ付近の緑ヶ丘公園付近で捜索中の警察官が目撃し、そのヒグマは帯広市中心部へ移動し姿を消す

6:55
更に北の帯広小学校(西8条南5丁目)近くに現れ小学校に入り込む

11:00
帯広猟友会が同小学校の木に登るヒグマを駆除

ヒグマは4-5歳のメス。
体長は150cmで、体重は150kg。

 

事件あれこれ

日曜日だった

この事件は帯広市内中心部に
ヒグマが出没した事件です。

当日はたまたま日曜日でした。

逃げ込んだ場所が小学校だったので
もし平日だったとしたら、
これほど速やかに駆除することは
難しかったと思います。

ヒグマが小学校に逃げ込んだ時間帯も
通学時間帯だったので、
平日でしたらさらに大事になっていました。

 

市内中心部での発砲許可

このヒグマを駆除するために
街中で猟銃を使いました。

住宅街での猟銃の使用は
禁止されており、
警察の明確な発砲許可がなくては
撃てません。

帯広警察署が素早く街中での
明確な発砲許可を出したことは
評価できると思います。

ここら辺は帯広警察署と
日ごろからコミュニケーションを
密にしている帯広猟友会ならではの対応だと思います。

 

また、
2019年6月に北海道砂川市で
警察と同行してヒグマを駆除した
ハンターの猟銃所持許可証を
取り消されるという
不可解な事件がありました。

この事件を受けて、
帯広猟友会駆除会幹部は
ヒグマを駆除する際は
「発砲前に警察から
発砲許可について一筆貰う」と
言っていました。

ヒグマが小学校に入ったのが7時、
実際の発砲が11時。

この4時間の間に
発砲許可について猟友会と警察で
相当のやり取りがあったことが伺えます。

 

駆除されたヒグマ

体長は1.5m
体重は150kg
年齢は4-5歳のメス。

餌を求めてか、
冬眠の場所を探してか、
街中までやってきたのでしょう。

良い餌場も冬眠場所も
強いクマに占有され、
行き場を失った結果なのかもしれません。

 

さらに、今現在、
ヒグマがやってきた川の上流域では、
2016年の台風により被害を受けた
砂防施設の大掛かりな工事が行われています。

あの辺りは良いヒグマの冬眠場所があります。

工事の影響によりヒグマの冬眠場所を
私たちが奪っているのかもしれません。

 

ヒグマが小学校校庭の木に
登っていたということは
人から逃げていたということです。

人が怖かったのでしょう。

 

一抹のやるせなさを感じます。

 

猟友会の先輩たち

帯広市は私の地元です。

同じ猟友会の先輩ハンターたちが
仕留めました。

お疲れ様でした。

 

私もいずれ、
こういう時に呼ばれるような
頼られる猟師になりたいと思います。

 

なぜ街中にヒグマがでるのか

ヒグマの移動路

このヒグマがどのように
市内中心部に現れたかというと、
川を移動路にして街中までやってきました。

このような移動路をコリドーと言います。

十勝の場合は川以外にも、
防風林がコリドーの役割を担っています。

コリドーが多い土地は
野生生物にとっても
生息しやすい土地といえます。

今回は主に川をコリドーとして
ヒグマが帯広市内中心部に
現れたといえると思います。

 

ヒグマが増える理由

近年ヒグマは微増傾向にあり、
人の活動圏内に入り込む事例も増えてきました。

この夏には札幌でも同様の事件がありました。

関連記事:
【事故記録】2019.8札幌南区ヒグマ徘徊事件 概要と今後の対応

ヒグマの数が増え、
人前に恐れずに現れるように
なった理由は、

・春熊などのヒグマ駆除の減少
・冬眠可能箇所の減少

・野良犬の減少

などが、遠因になっていると考えています。

また、
昨シーズンと今シーズン、
北海道森林管理局により国有林での、
北海道道庁により道有林での、
狩猟が規制されている状況です。

ヒグマにとって活動しやすい素地が
できているといえるのではないでしょうか。

 

今回はたまたま日曜日でしたので、
小学校の通学時間と重複せず、
学校内での猟銃が使用可能でした。

もし平日だったならば、
どうなっていたのか、
警察も猟友会もより難しい判断を
迫られる事態になっていたと思います。

 

したっけぃ

 

 

  • この記事を書いた人

モーリー

東京からUターンして、2015年から北海道で狩猟しています。趣味は旅、料理、読書、アニメなど。仕事は元絵描きで環境調査、インバウンドなど。 ブログは狩猟を軸に、自然と人の折り合いのつけ方、本質的な豊かさの模索をテーマにしています。

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