2016-03-19 No.87
フクジュソウ:Amur Adonis
「撮影:2016.3.18 近所の庭縁に咲くフクジュソウ」
散歩しているとフクジュソウを見つけました。
春を告げる花です。
北海道十勝に春が到来したと言っても良いかもしれません。
雪が残る寒い中で、スッと咲く黄金色の花は人々の目と心を楽しませてくれます。
英名は"Amur adonis"です。
意味はアムール川(シベリアに流れる川)のアドニス(ギリシャ神話の美少年)です。
日本では「福寿草」とめでたい名で呼ばれいます。
西洋東洋を問わず、注目されてきた花であることが名前からも伝わってきます。
フクジュソウについて:about Amor Adonis
キンポウゲ科フクジュソウの仲間は北半球で広く見られます。
日本には以下の4種が確認されています。
・フクジュソウ
・キタミフクジュソウ
・ミチノクフクジュソウ
・シコクフクジュソウ
この内フクジュソウは日本固有種(日本国でしか見られない種)です。
生態:life
「撮影:2016.3.19 上記と同じ場所で撮影した。日光が無く小雨が降る中では、花は閉じている」
多年草です。
初春に3-4cmの黄金色の花を咲かせます。
日光が当たると開き、陰ると閉じます。
葉は細かく分かれ、シャクの葉に似ています。
夏を迎えるころに地上に出ている部分が全て枯れてしまいます。
初春に花を咲かせ、夏までに光合成をおこない栄養を蓄え、そして来春までを地下で過ごします。
このようなスタイルを「春植物」とかスプリング・エフェメラル"Spring ephemeral"【春のはかなさ】と呼びます。
アイヌの人々は「チライアパッポ(イトウの花)と呼びました。
フクジュソウが咲き始めるとイトウが遡上してくるため、漁の支度に取りかかる目安としていました。
※チライ=(魚の)イトウ
分布:distribution
仲間は北半球に広く分布しています。
日本固有種のフクジュソウは本州、四国、北海道まで広く分布しています。
毒草:poisonous plant
フクジュソウは全草(葉、茎、根など)毒草です。
毒草は少量であれば薬にもなるので、チンキ剤、強心剤、利尿剤として利用もされていたようです。
毒性は強く、心臓病の予防薬として煎じて飲み死亡した例もあります。
重要種:Red data list
都道府県が指定する重要種です。
以下の図のオレンジ色と赤色で示されている31の都道府県では重要種に指定されています。
「環境省ホームページより引用
なお、シコクフクジュソウは環境省が絶滅危惧Ⅱ類、ミチノクフクジュソウは準絶滅危惧に指定されています。
花言葉:language of flowers
日本国では以下です。
・永久の幸福
・思い出
・幸福を招く
・祝福
欧州では以下です。
・悲しき思い出
※名前の由来となったギリシャ神話のアドニスが悲しい結末を迎えたことから欧州では「悲しき思い出」となっているのかもしれません。
英名アドニスの由来:Adonis in Greek mythology
アドニスとは、ギリシア神話の美少年の名前です。
愛と美の女神アフロディーテと死の女神ペルセフォネに愛された少年です。
アドニスが事故で死んだときに、その血潮からアネモネが生まれ、アフロディーテが流した涙からバラが生まれました。
ギリシャ神話では、フクジュソウがアネモネやバラの起源と見られていたのです。
北海道十勝はまだまだ雪が残っています。
しかし、春は確実に近づいています。
したっけぃ