2016-01-06 No.63
クロビイタヤ
逍遥の途、冬芽(とうが・ふゆめ)を見かけました。
冬芽の意味を辞書で引くと以下になります。
「秋のうちに生じ、冬を越して春に伸長する芽」
「クロビイタヤの冬芽」
クロビイタヤの冬芽です。
クロビイタヤという名前を聞いたことはありますか。
環境省が「絶滅危惧Ⅱ類」に指定している、カエデ科の樹木、もみじの仲間です。
絶滅危惧Ⅱ類に指定されている有名な生物でいうと「タンチョウ」や「クマゲラ」、「オオクワガタ」、「アオウミガメ」などがいます。
クロビイタヤは私が住んでいる町では、時々見かけることができる木です。
一見普通の木なので、多くの方は気にもかけないと思います。
しかし、私たちの身近なところに絶滅が危惧される生物がいるのです。
クロビイタヤについて
クロビイタヤは、5つに切れ込んだ葉が美しいモミジの仲間の樹木です。
葉が生えてきたら、ここで写真を紹介します。
北海道大学植物園のシンボルマークにもなっています。
日本固有種
このクロビイタヤは日本固有種です。
日本固有種:その国、あるいはその地域にしか生息・生育・繁殖しない生物学上の種のことです。特産種とも言う。日本にしか分布しない動植物の種は、日本固有種といいます。
生育地(分布)
河川の近くの林縁(林の切れ目)に生育していることが多いようです。
この写真のクロビイタヤも河川からやや近い、林の際に生育していました。
北海道には「十勝」・「日高」・「胆振」・「石狩」・「渡島」の支庁に分布しています。
本州には、「青森」・「秋田」・「岩手」・「福島」・「群馬」・「長野」の県に分布しています。
このような分布は氷河期と間氷期の期間に、生育に適した環境を探してクロビイタヤが移動(タネを飛ばすなど)していったと推測されています。
保全のために
生育地の確認と維持:
河畔林の林縁部(林の切れる場所)で生育していることが多いので、その生育地に手を加えず維持します。
周辺環境を含めた保全:
生物を保全する時は、その生物個体だけではなく、周辺環境も含めて保全することが大切です。
移植の際の留意点:
移植個体を採取する時は、群落を形成している生育地の種子をつかうと種子も元気であること多いです。
また、移植するときは地元の種子や苗を使うことが望ましいとされています。(地域での遺伝的分化が考えられるため)
「穏やかな冬の日。北海道十勝の冬の畑と日高山脈。」
散歩の途中、樹木にも注意を向けてみると面白い発見があるかもしれません。
暖かくして、かつ美味しいご飯を食べてお過ごしください。
したっけぃ