2017-01-29 No.146
2016年 台風10号被害
「北海道十勝幕別町(2016.8.31) 水に浸かった畑。作物はトウモロコシ。」
前回の記事で崩落した橋を紹介しました。→ 2016年洪水の爪痕
崩落した原因は2016年8月9月に北海道(特に十勝全域や南富良野町)に上陸した台風第10号です。
その原因となった台風10号は北海道、特に十勝や南富良野町に多くの被害をもたらしました。
一か月の間に4つもの台風が北海道に上陸したのは過去最大の数です。
以下に気象庁の報道発表資料を引用します。
日本への台風の上陸数は統計開始以降、2004 年の 10 個に次いで、1990 年、1993年と並んで 2 番目に多い 6 個(第 7 号、第 9 号、第 10 号、第 11 号、第 12 号、第 16号)でした。 引用:2016年(平成28年)の台風について |
上の写真は帯広市の隣町の幕別町の畑の様子です。
地元農家の方の話によると、「畑の近くを流れる猿別川が氾濫し畑が水に浸かってしまった。こんなことはこの50年で初めてじゃ。」との話を現場で聞きました。
下の図で猿別川と十勝川の位置と撮影した場所を赤点で紹介します。
図の通り猿別川は十勝川の支流です。
普段は猿別川の水は十勝川に注いでいますが、台風の影響で水かさが増した十勝川に猿別川の水が行かなくなり猿別川が氾濫したと思われます。
「撮影個所図 赤点が撮影個所 図面引用:国土地理院より」
被害の様子
「北海道十勝 2016.8.31幕別町の住宅の洪水被害の様子」
「北海道十勝 2016.8.31幕別町の洪水被害の様子 奥に見える堤防が猿別川の堤防」
「北海道十勝 2016.8.31幕別町の農道 玉ねぎが道路のあちこちに転がる」
上記の写真を撮っている中、地元の方とも思われる方が玉ねぎを拾って自転車で走っていきました。
洪水被害を目のあたりにして呆然としていましたが、人の逞しさと面白さを感じる瞬間でした。
「北海道十勝 2016.8.31 溺れないように避難している馬たち」
農家が馬が溺れないよう少しでも高い位置に馬たちを移動させている様子です。
治水事業の成果と支えた人たち
2016年8月に上陸した台風10号は北海道十勝及び南富良野町に甚大な被害を与えました。
被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。
一方で、全く知られていませんが今回の洪水被害は治水対策と工事によってかなり軽減されています。
私は仕事として治水工事や河川環境について、十勝管内でどのような治水事業が行われてきたのかを見てきました。
今回の洪水は治水対策事業がうまく機能した事例と言えると感じています。
川の近くに住んでいた私の両親の家や仲間の住宅は被害はありませんでした。
治水事業の成果がまるで知られていないことを残念に思います。
ただし、不幸なことに今回の洪水で人命が失われました。
また、水量調査にでていた建設コンサルタントの若い職員が一人亡くなっています。
あの台風による洪水被害の後で、私たちの生活が比較的変わらずにできているのは洪水対策のために働く人たちがいたからです。
河川状況を調べる方たち、決壊した堤防の応急対策に当たった方たち、現場の人たちに指示及びバックアップした河川を管理する十勝総合振興局や国土交通省の方たち、住民の避難場所を確保管理した市町村役場の方たち、そしてお互いに助け合った住民の方たちです。
洪水対策に当たった、そして今も当たっている全ての人に感謝します。
したっけぃ
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