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ハンター日記

事故記録 2022.1埼玉県医師殺害猟銃立てこもり事件 猟銃を持つ要件や課題

更新日:

2022-01-29 No.928

どうも、北海道十勝のハンターモーリーです。

2022年1月、埼玉県において猟銃による殺人事件がありました。

猟銃に関わる事件であることから、同事件の事件概要と猟銃を持つための要件について整理します。

 

事件概要

日時:2022年1月27日21:00-28日8:06

場所:埼玉県ふじみ野市

人物:容疑者:渡辺宏(66歳) 被害者:医師(44歳)、理学療法士(41歳)、医療関係者(32歳)他4名

内容:

2022年1月26日、渡辺宏容疑者の母親(90代)が亡くなる。
27日に渡辺宏容疑者が謝罪の要求のため、医師(亡くなった母親の主治医)、理学療法士、医療関係者、他4名を呼びつける。
27日21:15頃に埼玉県ふじみ野市で発砲音が2発発生。
4名が猟銃一丁を持って外に逃げる。
9:45、胸を撃たれていた理学療法士が玄関先で付近の住民に発見され救出されるも重体。
もう一人の医療関係者が催涙スプレーをかけられ外に逃げだす。
医師一人が渡辺容疑者の自宅内に取り残される。
埼玉県警のネゴシエーターが渡辺容疑者と交渉していたが、要求は特になく、謝罪を要求していた。
ネゴシエーターは容疑者との交渉の中で医師が生きていると伝えられていた。
28日8:06、埼玉県警は鍵を壊し閃光弾を使用して突入し、ベットの下に隠れていた容疑者を緊急逮捕。
心肺停止していた医師は病院へ搬送され、病院で死亡が確認された。

逮捕後、容疑者は黙秘をしている。

容疑者は猟銃を二丁所持しており、狩猟は行わず標的射撃のみ行っていた。

 

 

亡くなられた医師は地域の訪問看護の意思として近隣地域の患者およそ300名を担当していました。
大変素晴らしい医者であったと地域の方々は語っているようです。
謹んでお悔やみ申し上げます。

 

事件対応に当たられた埼玉県警の方々も、猟銃を持った犯人の立てこもり事件ということで疲れ様でした。

 

猟銃所持許可を受けるまでの要件など

猟銃・空気銃所持許可証

[猟銃・空気銃所持許可証]

今回はこのような事件を起こした容疑者に警察と公安委員会がなぜ猟銃所持許可を出したのかという声を聞きます。
私もそうだよなぁと思います。

猟銃を持つための要件等についてザッと整理します。

 

猟銃所持に至る要件

猟銃所持許可を受けるまでに、警察と公安委員会は以下の要件・項目について調査・確認します。
ザッとした列挙で、同じ要件を複数回チェックしているケースもあります。

・氏名
・年齢
・現住所
・本籍
・職場
・破産者
・精神障害や認知症
・躁鬱病
・てんかん
・脳血管疾患
・アルツハイマー型認知症
・飲酒時の様子
・アルコール依存症
・大麻や麻薬
・禁固刑の刑や執行猶
・過去の禁固刑や執行猶予
・ストーカー行為
・過去の暴力行為
・凶悪犯罪
・同居する家族についてやその心身状態
・反社勢力との交友関係

上記の要件・項目等について警察と公安委員会は調査します。
これらは【猟銃等取扱読本】という、猟銃初心者向けの本に記載されている内容です。
調査方法は、本人との面接や提出資料、家族・近隣住民・職場や仕事関係者などへの聞き込み、精神科医による診断などです。

また、3年に一度の定期的な射撃技能講習や猟銃等講習会を実施し、射撃スキルの確認や猟銃所持の安全管理などについて警察が実施する講習会を定期的に受ける必要もあります。
この他にも、筆記試験などもあり一定の知能チェックもその際に行われていると思われます。

日本においては世界で最も猟銃所持が難しいと言われていますが、それは上記のチェック要件があるからです。

なお、猟銃所持を最初から禁止している国も多いです。

ちなみに、日本は他国に比較して自然が豊かで狩猟可能な環境が国土にあることから、マタギなどの狩猟文化が育まれていることも日本の自然文化の特徴といえると思います。

 

実際の運用について

今回は埼玉において猟銃を用いた悲惨な事件が起こってしまいました。
異論はあるかと思いますが、猟銃所持許可の実際の運用については概ね問題はないと感じています。

しかし、どのようなシステムであれ、人が運用するシステムに完璧はありません。

日本国において猟銃を用いた犯罪発生件数は2000年以降、
・2002年栃木県宇都宮市
・2003年京都府京都市
・2010年大阪府羽曳野市
・2007年長崎県佐世保市
・2022年埼玉県ふじみ野市
の5件です。

猟銃所持者は現在は約20万人弱。
その20万人弱の内、この20年で悪意を持って猟銃を使用した件数は5件です。
多いか少ないかは主観的な判断になりますが、この22年で5件です。
なお、狩猟事故は含めていません。

 

 

2022.2.2修正・追記

2022.2.1ブログ読者の匿名様から、記載内容にミスがあるとご指摘をいただきました。
当初は日本における猟銃を用いた犯罪は今回の事件と、長崎県佐世保市の事件の2件としていました。
しかし、2002年宇都宮市、2003年京都市、2010年羽曳野市もあり、計5件でした。
2022.2.2に修正しました。
誤った情報を記してしまいましたこと、お詫び申し上げます。
また、ご指摘をしていただいた匿名様、ありがとうございます。

今後も、記事の内容に誤りを発見された方がいらっしゃいましたらコメントでご指摘をいただければ、随時修正します。

 

ただし、以下の3点については気になっています。

【精神科医の診断】と【近隣住民や友人の調査】、【猟銃所持許可取消の実施】についてです。

 

参考資料:
年齢別狩猟免許所持者数
※上記数字は狩猟免許所持者数であり猟銃所持者数ではありません。わな猟のみの狩猟免許保持者数もいます。一方、今回のケースのように狩猟を行わず、クレー射撃のみを行う猟銃所持者もいます。その辺りを勘案すると猟銃所持者の数は資料の数と概ね合致するのかと思っています。

 

精神科医の診断書について

猟銃所持許可を受ける前や所持後も3年に一度程度、精神科医の診断を受ける必要があります。
つまり、渡辺容疑者と面談した精神科医は「猟銃所持は問題ない」と診断していることになります。

その精神科医は今、深く後悔しているはずです。

 

ちなみに、精神科医との診察の際は、診断結果をその場で書いて貰います。

思うのですが、診断結果は警察が後日医者から電話なりでヒアリングするなどして、診断を受けた者にその診断結果を知らせない方が良いと思います。
診断する精神科医も、目の前で「この人物には猟銃所持許可を出せない」とする診断書を書き難いと思います。

 

 

近隣住民や友人

猟銃所持許可を受ける者に対し、警察はその近隣住民や友人関係、職場や仕事先の方々から人物像について聞き込み調査を行います。
果たしてこの人物は猟銃を所持するに値する人物なのか?と。

渡辺容疑者が猟銃を持っているという事は、この警察の問いに対して近隣住民や仕事先や友人たちが"YES"と言っているのです。
「はい、渡辺さんは猟銃を持っていても安心な人物ですよ」と。
その人物たちの責任は重大です。

その人物たちもまた、深く後悔し責任を感じているはずです。

 

 

猟銃所持許可取り消しについて

警察や公安委員会は猟銃所持許可を出した人間から所持許可を取消す行為はほとんどないように思います。

警察に限らず行政全般ですが、一度下した決定を変更することをめったにしません。

実際に、2007年に長崎県佐世保市で起こった【ルネサンス佐世保散弾銃乱射事件】とう二名の命が失われた事件ではこういう事がありました。
事件発生前に犯人の住む町の近隣住民が犯人が起こす奇行行為などを理由に、犯人への猟銃所持許可を取消て欲しいと警察に求めていました。
しかし、警察は拘束力がないとして猟銃所持許可取消を実施できませんでした。

もし警察と公安委員会が事前に猟銃所持許可取消を実施し、猟銃を没収できていれば佐世保市の事件は未然に防ぐことができたかもしれません。

 

埼玉の事件では渡辺容疑者はこの一年に30件近いクレームを病院に入れていたという情報があります。
事前に警察と病院でこの情報を共有できていれば、渡辺容疑者の危うさを事前に把握でき、猟銃所持許可を取消と猟銃没収ができていたかもしれません。

 

一時話題になった北海道砂川市における【砂川市猟銃所持許可取消事件】があります。
この事件では警察と公安委員会がある猟師の猟銃所持許可を取消しましたが、裁判を起こされて一審では警察と公安委員会が敗訴しています。

このような裁判を起こされ、しかも警察と公安委員会の猟銃所持許可取消決定が裁判により覆ってしまっては、今後は疑わしい猟師や近隣住民が危惧する猟師の猟銃所持許可取消の決定がより難しくなるのかもしれません。

どうなるのでしょうか。

ちなみに、この裁判は一審後に警察と公安委員会が控訴し、今は高等裁判所で裁判が進んでいます。

関連記事:
【事故記録】2018.8北海道砂川市猟銃所持許可取消事件 その7 判決、そして

 

 

 

2007年長崎県佐世保市の事件以降、法律が変わり猟銃所持がより難しくなったと聞きます。
その当時は私はまだハンターにはなっていませんでした。
今回の事件を受けて、また猟銃所持が難しくなるのかもしれません。

私的には法律を改正するよりも、警察と公安委員会それぞれが持つ猟銃所持許可の取消に関する裁量権をより柔軟に猟銃所持者へ運用・実施して欲しいと思っています。
疑わしい人物の猟銃所持許可はすぐに取消す、裁判はよほどのケースを除いては全て棄却、という方向で。
取消す方法も完全に取消すのではなく、半年や一年などの取消期間を設け反省を促すような柔軟な仕組みを設けても良いかもしれません。

もしそうなったら、私もなにかの際に猟銃所持許可取消を受けるかもしれません。
その時は素直に猟銃を没収されようと思います。
猟銃を捨て、わな専門の猟師を目指すのも面白いと思います。

 

今回の埼玉の事件では、なによりも、本当に大切な方の命が失われてしまいました。
重症を受けた方もいます。
いち猟銃を持つ人間として、申し訳なく思います。

申し訳ございません。

 

したっけぃ

  • この記事を書いた人

モーリー

東京からUターンして、2015年から北海道で狩猟しています。趣味は旅、料理、読書、アニメなど。仕事は元絵描きで環境調査、インバウンドなど。 ブログは狩猟を軸に、自然と人の折り合いのつけ方、本質的な豊かさの模索をテーマにしています。

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