2016-05-07 No.112
ザゼンソウ skunk cabbage
「北海道十勝 ザゼンソウ。内に見える丸にブツブツとついているものが花」
早春の森を歩くと雪を割って咲く赤く目立つ植物があります。
ザゼンソウです。
中の花の部分が達磨大使の座禅を組む姿に見えることから、座禅草(ザゼンソウ)の名前が付きました。
開花が早く、雪解け後の開花一番手がフクジュソウで二番手がザゼンソウです。
この花はかなり特徴的で面白い特性をいくつも持っています。
発熱して雪を溶かしたり、臭かったり、性転換したります。
今日はザゼンソウを紹介します。
英語では"skunk cabbage"(スカンクキャベツ)【臭いキャベツ】の意味です。
臭いの?キャベツなの?
安心してください、説明します。
発熱 make hot
「北海道十勝 発熱するザゼンソウの周りの雪が溶けている様子」
ザゼンソウは発熱し周囲の雪をいち早く溶かしいち早く生長し、他の植物に先駆けて早春に動きわまる虫たちを引き寄せて繁殖の確立をあげています。
ミトコンドリアという細胞に含まれる器官が呼吸をする際にエネルギーを発生させ、その際に余ったエネルギーが熱を発生させると考えられています。
雪解け頃に20℃前後の温度が1-2週間つづき、周囲の雪解けを促します。
※ミトコンドリアについては拙ブログ生命史「生命の旅2 全球凍結から真核生物の繁栄へ」をご覧ください。
臭い stink
「北海道十勝 ザゼンソウ 臭いを発して早春の虫たちを誘因する」
発熱する時に臭いも発し、早春の頃の少ない虫たちをザゼンソウが独占して集めることで受粉を促します。
この臭いがクサイことから、英名は"skunk cabbage"【スカンクキャベツ】と呼ばれています。
キャベツの仲間ではありませんが、葉が生える際に丸まって生えることからキャベツと呼ばれています。
ちなみにキャベツはアブラナ科。
ザゼンソウはサトイモ科です。
性転換 sex chage
「北海道十勝 ザゼンソウ 」
当初は女性として開花し、次に短期間の両性となり、そして男性となり性別を変化させる植物です。
早春の短い期間に受粉する生存戦略を選択したザゼンソウが生き残る方法なのかもしれません。
自然においても性転換する動物は時折みかけることがあります。
私たちに身近な動物ですと、魚の鯛(タイ)なども性別を変更することが知られています。
生命が性別を獲得したのは、9億年ほど前の話です。
生命40億年の歴史からみると、比較的最近のことです。
※性別の誕生については「生命の旅3 多細胞生物の出現と全球凍結再び」をご覧ください。
したっけぃ