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ハンター日記

やちぼうず 湖沼・湿地王国の残照

更新日:

 

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2016-04-13 No.97

十勝の春 spring has come

北海道十勝は日々春の装いをまといつつあります。
長芋もの春掘りも始まっています。

tokachi field「北海道十勝 新芽を出す作物(たぶん秋まき小麦かと)」

 

やちぼうず(谷地坊主) swelling sedge

swelling plants「北海道十勝 やちぼうず(谷地坊主)。十勝では湿った林内などで見かけることができる。高さは20cm程度、幅は40cm程度の円形」

林に入ると「やちぼうず(谷地坊主)」を見かけたました。
地面に凸凹ができているので、この時期は特に見かけやすいのです。
(夏になると草に覆われて地面の凹凸が確認し難くなります。)

やちぼうずとは寒冷な土地の湿原などにこんもりと盛り上がったスゲの塊をさします。
スゲが集まって、上記の画像のようにぽっこりとした草の塊をつくります。

十勝には「十勝坊主」と呼ばれる北海道の天然記念物もあります。
いづれ撮影して紹介できればと思います。
今回紹介するのは「やちぼうず(谷地坊主)」です。

やちぼうずの形成 form of swelling sedge

やちぼうずは北海道の道東や道北などのより寒冷でシメシメした場所で見られる現象です。
本州では長野県でも見られるようです。

「やちぼうず」ができるまで

1.スゲが集まり株をつくる
2.年月を経過し、スゲが安定する株が大きく成長する
3.寒冷地では冬に地面が凍結する
4.土の中の水分が凍ると体積が増え土が盛り上がりスゲの株も盛り上がる
5.春になると盛り上がった部分の周辺の土が雪解け水などで削られる
6.周囲よりも徐々に(年に数ミリ)やちぼうず周辺が高くなる

写真の様なやちぼうずはできてから10~20年が経過していると思われます。
場所によっては100~200年以上も経過しているやちぼうずもあるようで、そのようなやちぼうずは1mを超える大物のようです。

 

生き物の住処 as a house for insects

swelling plants「北海道十勝 やちぼうずの群生。林内の湿った場所で」

やちぼうずの内部は土やスゲの根が密集し、かつ隙間も存在しています。
アリやダンゴムシ、クモなどにとって好ましい環境です。
それらの小動物を狙ってカエルなども集まってきます。

 

開拓前、北海道十勝は河川と湖沼に溢れた大湿地地帯 swampy bayous before developments

元々北海道十勝は大きく蛇行する十勝川とその周辺に多くの湖沼を要する、大湿地地帯でした。
明治時代以降に畑作地帯として開拓され、元々あった湿地環境は失われています。
湿地環境を好むやちぼうずはその時代の生き残りとも言えるのです。
生き残ったこれらの環境を見守っていきます。

このブログに訪問していただき、ありがとうございました。
お体にお気を付けて、春の季節を楽しんでください。

 

したっけぃ

 

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  • この記事を書いた人

モーリー

東京からUターンして、2015年から北海道で狩猟しています。趣味は旅、料理、読書、アニメなど。仕事は元絵描きで環境調査、インバウンドなど。 ブログは狩猟を軸に、自然と人の折り合いのつけ方、本質的な豊かさの模索をテーマにしています。

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