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ハンター日記

からまつの湯の死亡事故と今後 300年前からアイヌが利用し猟師が見出した野湯

更新日:

2022-01-24 No.926

どうも、北海道十勝のハンター モーリーです。

十勝から200km以上東へ走ると「からまつの湯」という秘湯があります。
林内の渓流の脇にある露天風呂で、混雑する夕方を除けば訪れる方も少なくゆっくりひっそりと入湯できる野湯です。
シマフクロウも近くに生息しており、脇を流れる川ではシマフクロウのエサになるヤマメやニジマスなども泳いでいる素敵な環境です。
私も年に1-2度は利用させていただいています。
そんな温泉で死亡事故があり閉鎖危機にあると聞きました。

事件概要とからまつの湯についてお届けします。

 

事故概要

日時:2021年11月26日

場所:北海道根室 中標津町養老牛からまつの湯。養老牛温泉の近隣に位置する。中標津町の街中からは車で20-30分の距離で案外遠い。

 

内容:
2021年11月26日、入浴に訪れた利用者が誤って湯船に落ちてやけどを負い、自ら病院に向かい受診を受けたが、12月上旬に全身やけどにて死亡した。
同地区がある国有林を管理する北海道森林管理局(猪島康浩局長) 根釧東部森林管理署(松本康裕署長)は湯への立ち入りを禁止し、施設閉鎖も含め検討しており、地元愛好者は対応を検討している。

根釧東部森林管理署が病院から聞き取った情報によると、利用者が足を滑らせ風呂に転落。その際にやけどを負った。利用者は自ら中標津町の病院へ向かい受診を受け、釧路市内の病院に転送された。全身やけどを負っており翌月上旬に死亡した。

この事件を受け、同温泉がある国有林を管理する同管理署松本署長は同温泉の立ち入りを禁止した。
松本署長は「安全面などを含めて適切に管理できる団体などが出てきた場合は、国有林貸し付けの手続きを経て施設存続を検討できる」として、地元の愛好者たちへもにもこの方針を伝えた。
地元愛好者は「存続させたいが、個人による管理は難しい」と話す。
同署長は「管理者が現れない場合は閉鎖を検討せざるを得ない」と話す。

 

 

からまつの湯とは

からまつの湯の沿革

からまつの湯

[2021.4北海道根室 からまつの湯遠景]

からまつの湯は北海道中標津町養老牛の山林にある温泉です。
温泉の脇には渓流が流れ、シマフクロウやシマエナガといった北海道らしい野鳥たちも散見できる環境にあります。

元々は300年ほど前からアイヌの人々が利用していました。
和人としては、1914年に西村武重という明治大正昭和の時代の北海道を狩猟しながら渡り歩いた猟師が見いだした温泉です。

その後、林業を営む会社が源泉を利用したからまつの湯の原型をつくり、後に営林署※の職員が引き継いで現在に至る「からまつの湯」ができました。
1970年代頃にその職員の手が離れ、その後は地元の有志が石を組み露天風呂を整備したとされます。

このように、この温泉は300年前から利用されてきた歴史があり、この100年ほどは林業や地元の方々が利用してきた温泉が「からまつの湯」なのです。

このような歴史ある温泉が閉鎖が検討されていることは残念なことです。

※営林署:現北海道森林管理局のこと

 

二つの湯船と源泉貯水槽

からまつの湯には二つの湯船があります。
【石組み風呂】と【木組み風呂(黒いシートやブルーシートで被う)】の二つです。

 

からまつの湯

[2021.4北海道根室 からまつの湯(石組み風呂)]

こちらが石組みのお風呂です。
こちらの湯船は温度が熱い時が多く、入る前には必ず温度を確認してから入るようにしています。
ぬるい時もあれば、熱くて入れない時もあるからです。
熱すぎる場合は川の水を調整して入れて、待っている間はもう一方の湯船につかります。

 

からまつの湯

[2021.4北海道根室 からまつの湯(木組み風呂)]

こちらが木組みの上に黒いシートやブルーシートを被せている湯船です。
ややぬるいことが多いです。
注意するポイントはシートに緑のコケが繁茂しており滑り易くなっていること。

そして、上記二つの湯船の間に源泉の貯水槽があります。

 

からまつの湯

[2020.3北海道根室 からまつの湯 源泉貯水槽]

この木枠の中のコンクリートの箱が源泉貯水槽です。

源泉の温度は70-80℃。
飲用に適しているのか分かりませんが、私はこのお湯で湯上りのコーヒーを入れたり、ラーメンを食べたりしたこともあります。

この源泉貯水槽は木枠で覆われており、人が誤って入ることはないと思います。

 

からまつの湯の今後

からまつの湯

[2020.3北海道根室 からまつの湯 更衣室]

今回の事故は水を入れていない熱湯になっていた石組み風呂に誤って入ったとする情報や源泉貯水槽に入ってしまったとする情報があります。
事故があった11月26日は雪はほぼ降っておらず、雪も積もっていないので夜であったとしても貯水槽を湯船と誤って入ったとも考えにくいです。
事故後に自ら中標津町の病院へ向かっていることから土地勘があるので地元の方であったとも言われています。
地元の方だったとしたら、なおさら、なぜに熱湯に入ってしまったのかわかりません。

今回は本当に残念な事故でした。

ただ、民法の話になると、今回の事故の責任の先を探すことになるとしたら、その責任は管理者または土地所有者が管理責任(損害賠償)が負うことになるでしょう。
つまり、地元有志でからまつの湯を手入れしている方々が管理者と言えるかもしれません。
または、国有林内であることから北海道森林管理局に管理責任があると言えるかもしれません。

地元有志の方や森林管理局にとっても、良かれと思ってからまつの湯を見守ってきたのに、ひとつの事故で吹き飛んでしまいました。
300年とも100年とも続いてきた温泉を、今回の不注意な事故で途絶えさせるのはなんとも勿体ない話です。

 

そういえば、2021年7月に北海道の浮島湿原で横浜の女性がヒグマに襲われて死亡した事件以降、同場所へは行けなくなってしまいました。
ひとつの事故により、制限がひとつ、またひとつと増えてしまう。

事件や事故は必ず発生するものです。
その度に制限が増えてしまっては、私たちはやがて行動の自由を失ってしまいます。

制限が多い社会とは幼稚な社会ということです。
生徒の自主的な秩序が期待できない校則や決まり事が多い学校のようなもの。
そんな社会ではあまり生きたくはありません。

 

自由と自己責任は表裏一体。
事故や事件の結果に寛容さを示し、大人として自由を享受するために一人一人の行動責任が問われているように感じます。

自由には義務と責任が伴うものです。

 

からまつの湯の顛末から私たちが生活する社会の成熟度が見えてくるのかもしれません。

からまつの湯の今後の顛末がどうなるのか、見届けたいと思います。

 

したっけぃ

 

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参考サイト:

北海道ファンマガジン 無料混浴露天風呂「からまつの湯」は今や人気に!養老牛温泉

 

  • この記事を書いた人

モーリー

東京からUターンして、2015年から北海道で狩猟しています。趣味は旅、料理、読書、アニメなど。仕事は元絵描きで環境調査、インバウンドなど。 ブログは狩猟を軸に、自然と人の折り合いのつけ方、本質的な豊かさの模索をテーマにしています。

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