2015-11-18 No.24
エゾリス
北海道十勝はここ数日穏やかな秋を迎えています。
先日、散歩していると住民が設置したエサ台からエゾリスが松の実を採る様子を撮影しました。
エゾリスのことを英語で聞かれたら、"Ezorisu is a red squirrel living in only Hokkaido."と説明してみてはいかがでしょうか。
エゾリスを知る
昼間活動する種なので、北海道の人は良く知るエゾリスです。
しかし、その生態はあまり良く知られていなように思います。
エゾリスの巣ついて色々と紹介していきたいと思います。
巣の役割
巣を設置する目的は主に以下です。
・子育て
・休憩
・天敵(猛禽類)からの回避
・厳しい天候からの避難場所
巣の場所は樹上
エゾリスは樹上に巣をつくります。
木の枝や皮、葉などを集めて木の上に巣をつくったり、樹洞(木の穴)を利用したりしています。
営巣木の樹高・直径
営巣木(巣がつくられている木)は周辺の樹木よりも高く太い木が選ばれています。
これは、高く太い木の方が、巣は安定し、風雨からも保護されるからであると考えられています。
同様の理由から、巣を設置する位置も、太い枝の上を選定しています。
巣の設置位置の方角
設置位置の方角は南側が多く、東側と西側への設置も見られます。
この方角に設置することで、北風を避けることができます。
また、この方角は太陽光をより多く受けられる方角でありることから、巣内部の乾燥を保ち、温度を低下させないためと考えられています。
営巣木の種類
落葉樹(シラカンバ、ハルニレなど)より針葉樹(トドマツやカラマツなど)が営巣木として利用されています。
これは、天敵である猛禽類は落葉樹での狩りを好むため、猛禽類を避ける意味で針葉樹を営巣木に選んでいるようです。
巣の形
巣の形は球状形と皿型形の2種類が報告されています。
それぞれに特徴があります。
球状巣
・冬場も利用される
・繁殖用として利用される
・常緑針葉樹(プンゲンスウヒ、チョウセンゴヨウ、トドマツなど)に掛けられることが多い
冬場でも落葉しない針葉樹に巣を掛けることで、巣の存在を目立たせなくすることができるためである。
皿型巣
・主に夏場に利用される
・繁殖には向かない(屋根がないから猛禽類に狙われるため)
・落葉針葉樹(カラマツなど)に掛けられることが多い。
冬部は落葉し、巣が目立つので、冬場の利用は少ない。
以上のようにエゾリスが生活するためには、高く太い樹木が沢山必要であることがわかると思います。
生物を保全するためには、その生物が生活しやすい環境こそ保全する必要があります。
逆に言うと、環境さえ整えておけば、その環境を好む生物は勝手にそこに定着し、繁殖してくれます。
人も同じかもしれません。
「類は友を呼ぶ」の言葉にあるように、自分が持っている環境(立ち振る舞い、言葉など)によって仲良くなる人の傾向が決まってくるのかもしれません。
今回の記事内容は以下の論文を引用しています。
引用:「帯広畜産大学キャンパスにおけるエゾリスの生態 巣と営巣木の選択」山口由依、柳川久
本日も「ハンター日記」に訪問いただき、本当に有難うございます。
したっけぃ