2019-08-12 No.420
ご訪問いただきありがとうございます。
北海道十勝のハンター
モーリーと申します。
十勝の西に連なる日高山脈。
その中の
カムイエクウチカウシ山において、
7月11日と29日に
登山者がヒグマに襲われる
事故が発生しました。
いずれの事故でも命に別状はなく、
怪我で済みました。
カムイエクウチカウシ山は
地元では『カムエク』
（以後、カムエク）と
呼ばれています。
私は地元高校の山岳部でしたが、
危険度の高い山ということで、
顧問の先生も登山先には
選びませんでした。
事故の多い山で、
1965年 北大山岳部雪崩遭難事件
1970年 福岡大ワンダーフォーゲル部ヒグマ襲撃事件
が同山での有名な山岳事件です。
今回の事件について
整理しました。
2019年7月ヒグマ襲撃事件
[2019.5北海道十勝 カムイエクウチカウシ山とピラミッド山]
7月11日のケース
日時：2019年7月11日 4:40頃
場所：八ノ沢カール※付近
被害：神戸市の男性（65歳）右腕軽傷
クマ：体長1.5mの若クマ
概要：
カールを出発してすぐの登山道にて
ヒグマと距離20mで遭遇。
男性はストックで追い払い行動をとる。
ヒグマは男性に向かって突進。
男性はかわそうとするも右腕をひっかかれる。
ヒグマは再度男性へ突進を試みる。
男性が笛を吹いたので立ち去る。
男性は自力で下山し、中札内村へ通報。
カール：
氷河の浸食によってできる
スプーンですくったような地形
7月29日のケース
日時：2019年7月29日 3:00頃
場所：八ノ沢カール
被害：札幌市の男性（47歳）頭部、背中、肩、太腿などを噛まれて重傷
クマ：若クマ（11日と同個体と思われる）
概要：
山頂まで300mほどの登山道で
ヒグマと10mほどの距離で遭遇。
頭部、背中、肩、太腿など
50針ほどを縫う負傷。
男性は携帯電話で家族や警察に連絡し、
自力下山不可能であると伝える。
同日ヘリで救助され、札幌の病院へ搬送される。
命に別状はない。
当初、後ろから突然の襲撃を
受けたとの報道があり、
ここでもそのように記していましたが
修正（2019.9.7）しました。
どうやらよくある遭遇事故であり、
ヒグマから積極的に人を襲撃した事件では
なかったようです。
上記が7月にあったヒグマ襲撃事件です。
1970年に福岡大ワンダーフォーゲル部の
学生がヒグマに襲われ
3名の死者をだした事件がありました。
今回の事件は
その事件現場に近い場所です。
以下のサイトの方が
丁寧にまとめていますので、
更に詳細を知りたい方には
オススメのサイトです。
参考サイト：
元山岳部部長の登山講座 緊急！ヒグマが登山者を襲撃-カムイエクウチカウシ山-
ヒグマ襲撃は6月から起こっていた
[2019.8北海道阿寒国立公園 ヒグマの背中 巨躯でした]
今回はニュースになり広く知られましたが
日高山脈山岳センター※に確認すると
実は6月にも同様の事件は発生していました。
※日高山脈山岳センター
日高山脈の総合案内的な施設。
北海道、森林管理局、警察、中札内村は
8月8日から登山者へ
「登山自粛を強くお願い」
する旨を発表しました。
今現在（8.12）も多くの登山者が
カムエクに登山しており、
事件現場の八ノ沢カールで
テントを張っていると聞きました。
行政による自粛要請を
登山者は聞いていないようです。
一方、
行政は八ノ沢カールの
ヒグマの駆除は
今のところ
考えていないようです。
加えて、
カムエクは
日高襟裳国定公園内だと思うので、
そういう場所での駆除の事務処理とか
難しそうです。
しかし、
もし再度ヒグマ襲撃事件が
発生した際は
同ヒグマの駆除指示がでる
可能性が高いです。
正直酷い話だと思います。
ヒグマの住処に趣味で勝手に入り込み、
ヒグマから攻撃されたら
報復として殺処分だなんて。
しかも殺処分する役割は
当事者の登山者ではなく、
私たちハンターたちです。
悲しいことです。
そうならないように
登山者は今年来年の
カムエクへの登山は
自粛して欲しいと思います。
ヒグマは行動場所を変えますので、
来年以降は同ヒグマは他の場所に
移動するかもしれません。
それも危険ですが…。
取り急ぎご報告まで。
したっけぃ
以下の、クマスプレーは
ヒグマ遭遇時に効果を発揮します。
しかし、飛行機に乗せられません。
内地から北海道で
登山しに来られる方は
北海道到着後に
宿泊するホテルや
ホテル近くのコンビニなどで
受け取れる体制を整えてから
登山していただけませんか。
よろしくお願いいたします。
ヒグマ用。
ツキノワグマ用。
