2019-08-13 No.421
ご訪問いただきありがとうございます。
北海道十勝のハンター
モーリーと申します。
十勝のカムイエクウチカウシ山で
登山者が若いヒグマに
襲撃される事件が
7月中に2回発生しました。
日高山脈山岳センターによると
6月にも同様の事件が
起こっていたようです。
関連記事:
【事故記録】2019年カムイエクウチカウシ山ヒグマ襲撃事件
この連続した事件から
以下の事が考えられます。
・この若ヒグマは人を恐れないこと
・人が食料を持っていると知った可能性があること
整理します。
人を恐れないヒグマ
[北海道十勝 ベアマウンテンのヒグマ ヒグマを近くで見らえるので面白い施設です]
ヒグマは基本的に
人を恐れています。
ですから、鈴を鳴らして
こちらの場所を知らせてやると
近寄ってきません。
しかし、
子連れの母ヒグマと遭遇した際は
子供を守るために母熊が激高したり、
若いヒグマは経験不足から
人を恐れないということがあります。
これが前提です。
7月11日のケース
日時:2019年7月11日 4:40頃 場所:八ノ沢カール※付近 被害:神戸市の男性(65歳)右腕軽傷 クマ:体長1.5mの若クマ 概要: カールを出発してすぐの登山道にて ヒグマと距離20mで遭遇。 男性はストックで追い払い行動をとる。 ヒグマは男性に向かって突進。 男性はかわそうとするも右腕をひっかかれる。 ヒグマは再度男性へ突進を試みる。 男性が笛を吹いたので立ち去る。 男性は自力で下山し、中札内村へ通報。 |
この事件の中で
ヒグマが突進して男性の右腕に
怪我を負わせています。
ヒグマが突進する際は
その多くは威嚇の突進であり、
途中で突進を止め
激しく地面を叩くなどして
後退することが多いです。
しかし、このケースでは
突進し男性に傷を負わせています。
人を恐れていない証拠といえます。
なお、男性が誤った行動を
取っています。
ストックで追い払うような
威嚇行動を取ったことです。
この直後に突進されました。
また、この男性は笛を吹いて
ヒグマを追い払うという、
示唆に富む行動もしています。
大きな音を立てることは
ヒグマ撃退に有効なんですね。
大変勉強になります。
基本的に
ヒグマと近距離で遭遇した時は、
落ち着いて、静かに、
穏やかに話かけつつ
後退する行動が
推奨されています。
もし、突進しないまでも
こちらにゆっくりと
近づいてくるようでしたら、
優しく大きな𠮟りつける感じで
声を出して追い払うのも有効です。
私が知床でヒグマと距離5mまで
近づかれた時に知床の母と呼ばれる
写真家がとった対処方法を紹介します。
一喝後にヒグマが
方向を変えています。
ちなみに
この大矢さんはヒグマ専門の
アマチュア写真家として
知床で有名な方で、
とても可愛らしい素敵な方です。
人が食べ物を持っていると知ったクマ
7月29日のケース
日時:2019年7月29日 3:00頃 場所:八ノ沢カール 被害:札幌市の男性(47歳)頭部、背中、肩、太腿などを噛まれて重傷 クマ:若クマ(11日と同個体と思われる) 概要: 八ノ沢カールにて テントをたたんでいる出発準備中に 後ろから来たヒグマに突然襲われる。 頭部、背中、肩、太腿などを噛まれて負傷。 |
このケースでは
背後からヒグマが人を襲っています。
もう完全に人を攻撃しています。
人を恐れていない証拠です。
では、なぜこのヒグマは人を襲ったのか。
恐らくは人が食べ物を持っていると
知っているのからだと思われます。
事件箇所の八ノ沢カールは
テン場(野営地)なので、
多くの登山者がここで
テントを張る場所です。
過去の登山者が
食料(リンゴの中心部などの残飯)を
捨てていったり、
ウンチをしたでしょう。
リンゴの中心部や
人間のウンチは栄養豊富なので
ヒグマにとっては餌です。
11日と29日の若ヒグマは
同じ個体の可能性があります。
この個体は
人を恐れず人を襲い、
人が食べ物を持っていると知っている
と考えられます。
下界近くであれば、
完全に殺処分の対象です。
ただ、ここは山の奥深くの
ヒグマの住処です。
登山者が趣味で勝手に
ヒグマの住処に侵入して
攻撃を受けています。
このヒグマを殺処分する
判断をするか否かは
本当に難しいと思います。
行政の判断を注目したいと思います。
したっけぃ