2022-01-17 No.923
どうも、北海道十勝のハンター モーリーです。
日本から約8000km離れた太平洋上のトンガ王国において巨大噴火が発生。
1991年インドネシアのピナツボ噴火と同程度の規模と推測されています。
1991年のピナツボ噴火では地球全体で0.4℃気温低下し、日本においても冷害による米収量の激減がありました。
米の買い占めなど発生するのかなと心配になりました。
しかし、今回の噴火では寒冷化は避けられたとする報告があります。
興味があるのでトンガ噴火概要とその影響について整理します。
噴火概要
日時:2022年1月15日13時(日本時間)
場所:トンガ王国(太平洋ポリネシア)フンガ・トンガ火山
内容:
2021年12月20日に太平洋ポリネシアにあるトンガ王国のフンガトンガ島において噴火が発生し、噴煙が約12000m上がる。
約3週間後の2022年1月14日にも噴火が発生し、13,000m以上の噴煙が上がった。
翌15日、同島において巨大な噴火(火山爆発指数6程度)が発生し、噴煙は20,000m(20㌔)程度立ち上った。
トンガ王国は甚大な被害を受けていると推測されるが、火山ガスの影響で飛行機による接近が制限され、現地状況の詳細ははっきりしていない。
同噴火により、南北米やアラスカ、日本などの環太平洋沿岸に1-2mほどの津波が来た。
なお、今回の津波は噴火による衝撃波(ソニックブーム)が原因で発生した珍しい津波。
噴火の衝撃波は地球を二周したと考えられる。
なお、火山爆発指数6程度とは1991年のピナツボ噴火と同程度の噴火規模をさし、過去1万年では39回発生している。
トンガ噴火による地球寒冷化はあるのか
上記画像は北海道大雪山のお鉢平という3万年前の噴火口の様子です。今でも小さな水蒸気の噴き上げが見られます。
噴火口の中は時折毒ガスが発生するので人が立ち入らず、ゆえにヒグマの家族が安心して生活できる場所でもあります。
巨大噴火による寒冷化メカニズム
ピナツボ噴火で0.4℃の気温低下
1991年6月7日インドネシアにあるピナツボ火山が巨大噴火を起こしました。
火山ガスが世界にばら撒かれ地球全体の気温が0.4℃低下し、日本においても冷害による米の収量が激減し、代替としてタイ米を輸入しました。
トバ噴火で10℃以上の気温低下
約7万年前のとある日、インドネシアのトバ火山が噴火しました。
この時は破局噴火(火山爆発指数8)により6000年以上にわたり地球の気温が5℃-10℃以上低下し、その後ヴェルム氷期(約7万年-1万2000年前頃)へと突入することになりました。
このトバ噴火によりヒト科ホモ属(サピエンスやネアンデルタール人やデニソワ人を含む)の総人口が3,000-20,000人にまで激減したとされます。
トバ噴火の時、私たちのご先祖様は絶滅の一歩手前までいっていたのです。
そして、この時に私たちの遺伝的な多様性は壊滅的に失われてしまいました。
今は7,000,000,000(70億)人以上にまで増えていますが、似たような遺伝子の組み合わせのみのホモサピエンスだけが地上や地球表層を跋扈している状態で、生物として健全な状況ではありません。
このトバ火山の噴火による地球環境の激変とその後の氷河期発生、ホモ属の遺伝子多様性の喪失をトバカタストロフと呼びます。
気温低下のメカニズム
日本の火山 登別温泉地獄谷
上の画像は北海道登別温泉地獄谷。噴煙が立ち昇る様子が見えます。
関連記事:
冷えた体を温めるため登別温泉へ行ってきた エゾシカも好きな地獄谷は案外天国だったりする話
日本の火山 雌阿寒岳
下の動画は北海道雌阿寒岳の噴火口の水蒸気噴き上げの様子です。
両方の場所で、俗に言う硫黄の匂いが漂います。
関連記事:
巨大噴火による気温低下のメカニズム
巨大火山噴火が起こると、なぜ気温が低下するのでしょうか?
それは噴火により火山ガスが噴出するからです。
火山ガスとは、【硫化水素】や【二酸化硫黄】のことで、噴火により大量に大気に放出されます。
この硫化水素が温泉や噴火口近くに漂う、硫黄の匂いの正体です。
これらが太陽光に当たると水と合わさり【硫酸エアロゾル】となり大気を覆います。
エアロゾルとは霧やスモッグのような細かい粒のようなものです。
大気が硫酸エアロゾルに覆われると、太陽光がエアロゾルによりはじかれてしまい、地表に届く太陽光の量が減り寒冷化してしまうのです。
逆に成層圏の気温は高くなる現象が発生します。
今回のトンガ噴火で地球は寒冷化するのか?
1991年のピナツボ火山噴火の際に発生した火山ガス量は2000万㌧。
2000万㌧で地球は0.4℃の気温低下になりました。
今回のトンガ噴火はピナツボ噴火と同程度の噴火でした。
しかし、今回空気中に放出された火山ガス量は40万㌧と推定されています。
発生した箇所が海底やその付近であったため、火山ガスの多くが海水に吸収されたようです。
このことから、2022年1月15日のフンガ・トンガ火山噴火の影響は1991年のピナツボ火山噴火よりは寒冷化への影響は軽度だと見積もられています。
一方、海水への影響は大きく、海環境や漁業への影響については今後の推移を見守る必要はあります。
ちなみに、鹿児島県の桜島は毎日噴火していますが、火山ガス量は1000-2000㌧/日です。
今回のフンガ・トンガ島の火山ガス量は桜島の200日分と考えると把握しやすいと思います。
トンガの復興への長い道のり
トンガ王国は人口約10万人で、農業や漁業、観光、出稼ぎ労働者による送金が基幹産業です。
トンガの主要農作物はかぼちゃ、バナナ、コプラで、輸出品はかぼちゃが93%を占めます。
トンガ産のカボチャは多くが日本に輸入され、西日本にその多くが流通しています。
今回の噴火によりトンガの農業は壊滅的な被害を受けていると思われます。
ちなみに、トンガ産のカボチャは主に西日本に主に流通しており、北海道ではトンガ産のカボチャは流通していません。
北海道では北海道産のカボチャがほとんどです。
参考文献:
300年前に富士山が噴火した宝永噴火では、周辺農地の復興には80年かかったとする話もあります。
トンガ王国の再建と農業の再生にも、長い年月と人々の根気が必要になるでしょう。
トンガは英連邦に所属しているので、復興は英国やオーストラリア、ニュージーランドが中心になって進めると思います。
太平洋の安定のためにも、日本もTPPを利用した経済的復興支援策を提案したいところです。
したっけぃ