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ハンター日記

この世界の片隅に 原作とアニメ映画と3つの才能の融合 そして2016年の奇跡

更新日:

2019-08-06 No.412

ご訪問いただきありがとうございます。
北海道十勝のハンターで
モーリーと申します。

元アニメーターで、
今でも漫画やアニメは大好きです。

2019年8月3日に
地上波でアニメ版「この世界の片隅に」が
NHKで放映されたと聞きました。

この素晴らしい作品を
より多くの方々が知ることを
とても嬉しく思います。

 

今日は8月6日。

今から74年前に広島に
原子爆弾が落ちました。

戦時の日常や原爆について
描かれている話題の作品
『この世界の片隅に』
についてお届けします。

 

原作(漫画) この世界の片隅に

この世界の片隅に[この世界の片隅に上・中・下(漫画が原作) 庭の芝桜の上に原作を置く]

 

原作

原作者はこうの史代(1968年9月 広島市出身)氏。

2007-2009年に漫画アクションで
連載されました。

代表作は『夕凪の街 桜の国』。

 

私はこの方の絵が好きで、
元々は絵に惹かれて漫画を購入しました。

絵はスクリーントーンを使わない、
素朴な印象で、
内容も日常生活を描く素朴な作風です。

 

思うのですが、
最初の一歩は
こうの史代氏の作家性を
くみ取って世に作品を送り出した
漫画アクションの編集の方です。

漫画アクションの編集長は、
もっとクローズアップされてもよい
立場かなと思います。

漫画アクションWEB版

漫画アクションのWEB版の
サイトを紹介しておきます。

 

あらすじ

第二次世界大戦時、
軍港呉に嫁いだすずさんの
戦前、戦中、原爆投下、終戦時までの
日常を描いた作品。

のんびりしたすずさんと
戦時という非日常のコントラスト、
戦時であっても悲惨なことだけではなく、
楽しい人々の生活があったことも描いています。

戦争を扱った作品は作者の右や左の思想を
浮かび上がらせますが、
この作品は戦時の日常と生活を描くことで
戦争のリアルと向き合った秀作です。

 

この原作はアートそのものです。

ぜひこの作品を手に取って、
こうの史代氏の線豊かな作画と
ほのぼのとした日常の中に
芯の通った思いを
感じ取って欲しいと思います。

また、
こうの史代氏の
最高傑作は
『夕凪の街 桜の国』です。
『この世界の片隅に』が3冊(2100円)で
高いと感じる方は、
『夕凪の街 桜の国』(864円)を
おすすめします。

是非!

 

 

映画 この世界の片隅に

片渕須直監督

監督は片渕須直氏。

片渕監督は脚本家出身のアニメ監督です。

日本大学芸術学部映画学科の生徒の頃から
アニメ制作に携わり、
初脚本は『名探偵ホームズ』。

宮崎駿監督とも関係が深く、
宮崎監督に近い立場で
『魔女の宅急便』などにも関わりました。

と言いますか、
元々は片渕氏が『魔女の宅急便』の
監督予定でしたが、

宮崎駿さんが「俺がやる!」と
後から出てきて
監督に収まりました。

宮崎さんの人となりが
伝わるエピソードです…。

魔女の宅急便は面白いので
問題ないのですが、
現場の方の気持ちは複雑だろうなと…。

 

魔女の宅急便の後は
『アリーテ姫』や
『マイマイ新子と千年の魔法』
などの監督をつとめ、
ヒット作に恵まれない中でも
徐々に実力を認められる
存在になってきました。

そして、この『この世界の片隅に』で
名実ともに日本を代表する
アニメ監督の一人となったと思います。

 

クラウドファンディング 39,121,920円

片渕監督は『この世界の片隅に』の構想を
2010年頃から温め、
広島に何度も通ったと聞きます。

しかし、
地味な内容であるため
スポンサー集めは難航し、
資金調達のめどは立たなかったようです。

一念発起でクラウドファンディングで
資金募集すると
なんとわずか8日で2000万円を突破し、
最終的に3374人から39,121,920円が集まり、
パイロットフィルムを作成できました。

そのパイロットフィルムを元に
スポンサーを募り
無事に映画製作がスタートを切れたようです。

1万円以上の支援者は
エンドロールに名前が載るということで
合計2000名もの支援者の名前が
エンドロールに載っています。

『この世界の片隅に』の映画化は
まさに片渕監督の情熱と
支援者たちの思いが
形になった作品なのです。

ちなみに、
この作品の総製作費は
2億5千万円程度で、
クラウドファンディングで
集めた資金が起点となり、
その後の製作に繋がりました。

また、
片渕監督は本来やりたかったカットが
まだ30分ほどあるそうで、
完全版的な続編も
あるようです。

 

実は片渕須直監督と私は少しだけ縁があります。

彼が監督した作品『アリーテ姫』
(2002年 東京国際アニメフェア長編部門優秀作品賞)に
私もアニメーター(動画)として作画に参加しています。

アニメ制作現場にいた頃を
懐かしく思い出します。

 

失われた天才と生き残った天才

私の尊敬するアニメーターは
ジブリに所属していた
近藤善文さん。

キャラのしぐさや
ちょっとした雰囲気を表現できる
アニメーターでした。

ジブリ作品
『耳をすませば』で監督を、
『もののけ姫』では作画監督を務めました。

しかし、
度重なる宮崎監督や高畑監督からの
重圧で過度なストレスを受け続けたのか、
47歳の若さで亡くなりました。

宮崎監督も高畑監督も
近藤善文さんが最高のアニメーターであるからこそ
強く当たってしまったのだと
思います。

誰が悪い訳ではありません。

ただ、悲しい。

 

本当は片渕須直監督と
近藤善文作画監督の
タッグを見たかった。

もし実現していたら、
どんな素晴らしい作品が
誕生していたのか…。

片渕監督には、
これからも心身ともに健康を維持し、
末永く素敵な作品を
近藤善文さんの分も
世に送り出して欲しいと期待しています。

 

天才役者のん(能年玲奈)の存在

『この世界の片隅に』の
原作を読んでいたので、
すずさんの声優が誰になるのか、
すずさんの雰囲気を
踏襲できる声優がいるのか
疑問でした。

いたんですね。

のん(能年玲奈)さんが。

彼女もまた、
天才でした。

片渕監督はイメージボードの頃から
すずさんの声優はのん(能年玲奈)に
決めていたそうです。

そしてのん(能年玲奈)さんは
片渕監督からオーディション参加について
声がかかった時に、
監督へ手紙を書いたそうです。

「すずさんは私でなければ嫌です。」と。

そして、
スクリーンの向こうに
私の頭の中でイメージしていた以上の
すずさんが映像の奥にいました。

のん(能年玲奈)は
本当に天才ですね。

ガラスの仮面の
北島マヤタイプの
天性の天才ですね。

本当にのんにすずさんが
乗り移っていました。

※イメージボード:
作品のアイデアスケッチのこと。
監督自身の作品イメージの確立や
クライアントへの作品内容を
説明する際に描くラフスケッチ。
宮崎監督のイメージボードは
最初から芸術作品。
ちなみに、片渕監督の奥様は
浦谷千恵氏。
素晴らしく上手いアニメーター出身の方です。
イメージボードなどは恐らく奥様が
作画したと思います。
こちらの奥様もまた、
すずさんのように
おっとりとしてドジで、
でも絵が上手い方です。

原作のこうの史代氏が
片渕監督と奥様にあった時
すずさんは奥様のような方ですと
語ったそうです。

この映画がどれほどの偶然を経て
傑作へと導かれたのか、
その片鱗がうかがえるエピソードです。

 

失礼いたしました。
のん(能年玲奈)に話を戻します。

のん(能年玲奈)さんは
以前所属していた
レプロエンタテイメントから
圧力を受けて、
芸能活動を制限されていると聞きます。

あんな天才を干している
今のテレビ界に呆れます。

とういうか、のんの事務所も
作品をyoutubeなどに移して、
今の能年玲奈を最大限に露出すべき。

テレビにこだわる必要なんてありません。

天才ののんを
活かしきれていないように思うので、
今の事務所はもっと工夫して
頑張ってください。

とりあえず、
作品を観て応援することしかできませんが、
ガンバレのん。
ガンバレ能年玲奈。

 

才能のスパーク

『この世界の片隅に』がヒットしたのは、
原作のこうの史代氏
監督の片渕須直氏
声優の のん(能年玲奈)氏
と3つの才能が
各々の才能を
フルに発揮できたことが
キモだったなと感じています。

多くの才能と想いと情熱が
スパークした作品が
『この世界の片隅に』です。

ぜひご覧ください。

 

 

1984年の奇跡 2016年の奇跡

(長い蛇足になります。)

私が思うに
日本アニメには
2つの奇跡の世代
ともいえる時代があります。

最初が1984年。

この年は
『うる星やつら ビューティフルドリーマー』押井守監督
『超時空要塞マクロス~愛・おぼえていますか~』石黒昇・河森正治監督
『風の谷のナウシカ』宮崎駿監督
という世界アニメ史上に残る作品が3つも揃った
空前の年でした。

この中で石黒先生は
すでに鬼籍に入っています。

 

32年後、
2016年に
再び奇跡が起きます。

テーマはいずれも
「カタストロフからの再起」。

2011年の東日本大震災を受けて
傷つく日本人が欲するテーマでした。

 

『シン・ゴジラ』庵野秀明監督
『君の名は』新海誠監督
そして、
『この世界の片隅に』片渕須直監督
の登場です。

『シン・ゴジラ』は実写映画ですが、
庵野秀明監督という
『ふしぎの海のナディア』や
『新世紀エヴァンゲリオン』の監督として
その名は世界で知られています。

 

『君の名は』の新海誠監督は、
超人的な方で、
『ほしのこえ』(25分)という
作品をほぼ一人で作り上げた、
恐ろしい方です。

その後も
『雲のむこう、約束の場所』
『秒速5センチメートル』
などのヒット作品を次々と飛ばし、
『君の名は』で名実ともに
日本を代表する映画監督の一人といえます。

 

そして遅咲きの天才、
片渕須直監督が
『この世界の片隅に』で
メジャーデビューしました。

これからの片渕監督の作品が
本当に楽しみです。

 

また、同年
『聲の形』山田尚子監督も登場し、
2016年はアニメ史上空前絶後の
豊作年となったと思います。

 

他にも
『時をかける少女』や
『サマーウォーズ』などで有名な
細田守監督もいます。

 

日本のアニメーションは
京都アニメーションの事件を受け、
重苦しい雰囲気があります。

しかし、未来は明るい。

そして、
今の日本は
アニメーションを作れるほどに
平和で豊かであることも事実です。

 

アジア太平洋戦争で
亡くなった先人たちの
思いを受け取りつつ、

『この世界の片隅に』の
すずさんのように
笑顔を忘れずに
日々を丁寧に生きていこうと
思います。

『この世界の片隅に』の
製作に携わったすべての方々に
感謝します。

ありがとうございます。

 

長文失礼いたしました。

したっけぃ

 

  • この記事を書いた人

モーリー

東京からUターンして、2015年から北海道で狩猟しています。趣味は旅、料理、読書、アニメなど。仕事は元絵描きで環境調査、インバウンドなど。 ブログは狩猟を軸に、自然と人の折り合いのつけ方、本質的な豊かさの模索をテーマにしています。

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