2017-05-25 No.185
ジョウザンシジミ
[2015.5.7北海道十勝 ジョウザンシジミ]
ジョウザンシジミという蝶がいます。
シジミなのに貝じゃなくて蝶なの?と思うかもしれませんが、「~シジミ」、「~セセリ」と付くと蝶の仲間です。
北海道固有亜種で、札幌の定山渓や十勝などの極々一部に生育しているのですが、各地域の個体群で若干の違いがあります。
名前は定山渓で最初に発見されたことから、ジョウザンの名が付いています。
北海道の各個体群の中でも十勝の個体群は青っぽく、コバルトジョウザンシジミとも呼ばれ、日本中の蝶マニアの間では垂涎の的となっています。
5月の連休頃にエゾノキリンソウがある岩場などで運が良ければ確認することができます。
日本国以外ではユーラシア大陸の北部に広く分布しているようですが、モンゴルまで採集に行った方によると北海道のジョウザンシジミが一番綺麗なんだそうです。
蝶を探しにモンゴルまで行くなんて、すごい方もいるものです。
蝶の探し方
[北海道十勝 岩場]
[北海道十勝 エゾノキリンソウ 産地の岩場などに生育]
特定の蝶を探す時は、その蝶が好む植物を探すことが大切です。
ジョウザンシジミはエゾノキリンソウを、エゾヒメギフチョウはオクエゾサイシンという植物を好みます。
ですので、蝶マニアの方たちは植物に詳しく、蝶を探す時はまず、その蝶が好きな植物を探すところから始めます。
ジョウザンシジミ個体群の絶滅について
[北海道十勝 山間の河川沿い ここに車が三台も止まっている状況は初めて]
先日、山菜を探しがてらジョウザンシジミを撮影しに山間のある場所にいくと車が3台も止まっていました。
いずれも札幌のナンバーで「わ」ナンバーもありました。
大麻を探しに本州から人が来ると聞いたことがありますが、まだその時期ではありません。
珍しいなと思いながら、山菜とジョウザンシジミを探していると、捕虫網をもった方に出合いました。
話を聞くと、千葉からジョウザンシジミを採りにきたとのこと。
私が知るジョウザンシジミの場所を一緒に見に行くと、一頭もいません。
例年だとこの時期にこの場所にいるのですが、実は昨年から一頭も見ていないのです。
去年は運が悪かったのかなと思っていたのですが。
その千葉から来た方の話を聞くと、ある千葉の蝶愛好家が先日ここの個体群をかなりの頭数を採集し、持ち帰ったとの話を聞きました。
この千葉から来た方も、その話を聞いてここのジョウザンシジミを探しに来たようです。
ひょっとしたら去年も誰かが採集していったのかもしれません。
蝶のある個体群は採取者が集まり絶滅することがあります。
ジョウザンシジミに限らず、蝶の個体群が絶滅するほどには採集して欲しくはありませんが、どうしょうもありません。
ここの個体群も絶滅してしまうかもしれません。
私もハンターとして、命を奪う立場にいるので偉そうなことは言えません。
ただただ悲しい…。
また、日を改めてジョウザンシジミを確認しに来ようと思います。
確認できたら、ここで報告します。
ちなみに、専門家や愛好家の間では蝶の数え方は「一匹」や「一羽」ではなく「一頭」と数えます。
[ジョウザンシジミ 羽の表側が青っぽいのが確認できる 定山渓のジョウザンシジミはもっと黒いらしい]
[ジョウザンシジミ キリンソウがまだ開花していなかったのでタンポポを吸蜜している]
北海道十勝はここ数日曇りがちで肌寒い日が続き、ストーブをつけています。
貴方の町は暖かいでしょうか。
十勝では風邪が流行っているようですので、気を付けてお過ごしください。
したっけぃ