2021-08-26 No.877
どうも、北海道十勝のハンター モーリーです。
2021年7月12日、北海道滝ノ上町の山林において、頭から血を流して死亡している横浜市女性(69)が発見されました。
現場の状況からヒグマ襲撃による事件とみられています。
事件概要は以下に整理しています。
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事故記録 2021.7北海道滝ノ上町浮島湿原ヒグマ襲撃事件 香水や整髪料はヒグマを誘引する
同事件の現場がある上川町と滝上町の内、滝上町は山中の事件だとして駆除はしない方針を示しました。
上川町へも電話で聞き取り調査をしましたが、ヒグマは獲っていないようです。
今回、そんな浮島湿原にいってきたのでご報告差し上げます。
浮島湿原の2か所の入り口 上川町と滝上町
旭川市から車で北東に約2時間ほど走ると浮島湿原に着きます。
浮島湿原には上川町側と滝上町側の二つの入り口があります。
上川町からのアクセスが一般的です。
襲われた横浜の方は滝上町側入り口から浮島湿原を目指し、その途上でヒグマに襲撃されたと思われます。
今回は上川町側から浮島湿原まで歩こうと思っていましたが...。
上川町
浮島湿原へ至る上川町側からの林道です。通行止めがあり、浮島湿原へ行くことができませんでした。
事故後も上川町側からは浮島湿原へアクセスできると聞いていましたが間違いでした。
気にしないで進もうかなとも思いましたが、「ハンターたる者ルールは守るべし」と思い直し撤退。
上川町からのアクセスは諦め、もう一方の滝上町の入り口へ行ってみました。
ちなみに、銃は持っていません。
ハンターであっても猟銃を持てるのは猟期間の秋冬だけです。
駆除で獲物を獲る時も、所属している猟友会の地元管内のみで銃の所持が許可されています。
地元以外では駆除であっても猟銃を持ち歩くことは原則禁止です。
滝上町
滝上町側からの浮島湿原入り口に行くと、こちらも立入禁止の単管パイプが設置されていました。そこに花束が置いてあります。
亡くなった横浜の方へどなたかが手向けたのでしょう。
私もお参りしました。
置いてある花をアゲハ蝶の幼虫が食べていたのが印象的でした。
ちょっと奥をのぞきますと、静かな夏の林道。
すぐそこにヒグマが現れるような、そんな気配を感じる林道です。
入り口付近ではヒグマの臭いはしませんでした。
鳥獣保護区
浮島湿原周辺は上川町も滝上町も北海道の鳥獣保護区に指定してされています。鳥獣保護区とは鳥獣保護を目的に法律※に基づき環境大臣と各都道府県知事が指定する制度です。
鳥獣保護区域内では狩猟は原則禁止されます。
ここ浮島湿原周辺では野生生物たちが多く、かつ観光名所ということもあり観光客への安全安心も考慮して鳥獣保護区に指定されているのでしょう。
猟期が始まるとハンターは毎年鳥獣保護区等位置図を受け取ります。
この図はその図より浮島湿原周辺を撮影したものです。
赤く指定されている区域が鳥獣保護区です。
上川町側が137番、滝上町側が199番の鳥獣保護区となっています。
また、同地区にある浮島トンネルという4.1kmの長いトンネルも見て取れます。
駆除に掛かる税金は横浜の人が払っている話
今回は横浜の方がヒグマ襲撃により亡くなりました。
滝上町は山中のことであり駆除はしないとしています。
上川町も積極的な駆除は考えていないようです。
私も山中のことだし放っておいてもいいかなと思いつつも、人を襲ってしまったヒグマであること、同地区が観光名所であることなど含めるとやはり駆除が望ましいとは思います。
ただ、襲撃事件から時間が経過してしまい、同地区にはヒグマが多く生息していることから、横浜の方を襲ったヒグマ個体を特定することはほぼ不可能だとも思います。
そして、駆除方針を出し猟友会が出動すると駆除の成否にかかわらず費用が発生してしまいます。
これは小さな地方自治体には頭の痛い問題です。
一時、北海道島牧村でヒグマ駆除に際しての猟友会へ支払う費用が捻出できないとして問題になったこともありました。(あの問題は漁師と猟師の島牧村における主導権争いの一面もあり複雑な問題だと聞いています。その内、詳細を報告できればと思います。)
駆除の費用は交付金
駆除に関わる猟友会へ支払うその費用は小さな町だと交付税が使われることが多いです。
交付税(一般、特別含む)とは財務省が各地方自治体へ配る税金です。
つまり、駆除に掛かる税金はその市町村の税収から捻出するのではなく、日本国民全員が支払う税金から支払われているケースが多いのです。
猟友会が駆除の費用として受け取るお金はその一部を横浜の方が支払っているとも言えるのです。
そういう意味では、特に全国から人が来る観光地での野生生物の駆除は積極的に行った方が良いとも考えられます。
蛇足ですが、かつての苫小牧のように税収が多かった都市は交付金を貰っていませんでしたので、自前で駆除費用も捻出していました。
今の苫小牧は交付金を貰っています。
話は戻りまして、
ヒグマの駆除は滝上町のような小さな町だと本当に難しいものです。
まず、地元猟友会に経験あるうまいハンターが複数必要です。
出動するハンター二名(最低必要人数)に一日3万円支払うとして、1週間6日出動して36万円。
それが2週間や3週間となると、使い道が固定されている税金となるとその手続きと支払いは本当に難しいものです。
なお、都会に住む貴方も地方の駆除は貴方の支払っている税金で賄われるケースもあることから、貴方も無関係ではありません。
また、ヒグマを駆除すると遠い都会から「ヒグマが可哀そうなので撃たないで欲しい」との連絡が役場にありますが、その意見は納税者が「自分の支払った税金を野生生物の駆除なんかで使わないで欲しい」という文脈で聞くならば、的外れな意見ではないと考えています。
駆除の在り方には都会に住む貴方も納税者であることから、今後も注視して欲しいと思います。
浮島湿原のこれから
浮島湿原はいつ行けるようになるのか?
上川町役場に話を聞くと、どうしたら良いのか本当に困っているようでした。
話しぶりから今年(2021年)度中の開通はなさそうです。
人一人亡くなっている事件であり、観光地でのヒグマ被害であることを勘案すると駆除が望ましいが、狩猟禁止の鳥獣保護区であることや猟友会への費用捻出が難しいのだと思います。
私の提案は以下です。
北海道知事に暫定的な鳥獣保護区の指定を解除して貰い、観光客の同地区への立入禁止を厳格にした上で、猟期が始まる10月以降に同地区での狩猟を促します。
つまり、お金のかかる駆除でヒグマを獲るのではなく、狩猟で獲る方法です。
同保護区で狩猟する猟師は上川町や滝上町で宿泊して貰い、その宿泊費や飲食費を地方自治体や国から補助するなどの措置が良いかもしれません。
両町にお金を落とす二重の効果も期待できます。
報奨金は設けなくても「いっちょう撃ったるか」と全道からハンターが集まるでしょう。
猟師が浮島湿原周辺でバンバンやれば、ヒグマたちもヒトを怖がり同地区で人を襲う事例も軽減されることが予想されます。
どうでしょうか?
私なら狩猟仲間と共に行くでしょう。
社会実験的な扱いで環境省なりが音頭をとってやってもいいかもしれません。
以上ご検討宜しくお願い致します。
したっけぃ