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ハンター日記

遭難した時の心理状況 妖怪猫又伝説がある猫魔ヶ岳で遭難して自力下山した時の話

投稿日:

2023-08-11 No.1024

どうも、北海道十勝のハンター モーリーです。

2023年の8月11日は「山の日」です。

先月、東北へ行った際に登山してきました。

午前に磐梯山、午後から猫魔ヶ岳、雄国沼へ至るルートです。

そして遭難してしまいました。

 

高校時代は山岳部、学生時代は大雪山の山小屋の管理人のアルバイトもしていた私です。

心のどこかで「私が遭難するわけがない」と傲慢に思っていたところもありました。

自らの傲慢さが招いた事故でした。

なぜ遭難し、どのように自力下山できたのか説明します。

 

 




 

遭難の理由

磐梯山

[2023.7福島県磐梯山 磐梯山山頂の看板 実際にはこの看板よりも更に少し上る]

・無計画

・準備不足

・天候不順

遭難した理由は上記3つでしょうか。

 

磐梯山

[2023.7福島県磐梯山 磐梯山中腹から雄国沼らしき沼が見える]

そもそも、今回の登山は福島県を代表する山『磐梯山』に一度は登りたいなという思いからでした。

調べてみると磐梯山は比較的簡単に登れる山ということで、ザックに水2L、おにぎり、非常食、カッパ、ヘッドライト、スマホを積めてクライムオン。

スタートは7:30で天候は風が強く天気は雲りでいまいちですが、気温は高めで登りにくさはありません。

標高は1816mも高い山ですが、標高の高い登山口まで車で行けるので1816mの山のようには感じません。

北海道と違って登山客も多く、驚いたことに山小屋に食事やキーホルダーなどは売っており驚きました。

7:30登頂開始で、登頂が10:00頃、12:00前には下山。

ここでさっさと麓の温泉に入れば良かったのです。

 

磐梯山

[2023.7福島県磐梯山 山頂付近様子 あいにくの天候]

磐梯山を下山した時の印象は「まだまだ体力が残っているな」という印象。

これが良くなかった。

「隣の山も登ってみるか」となってしまいました。

隣の山とは「猫魔ヶ岳から雄国沼ルート」で6時間程度のルート。

日暮れまでには下山できるなと考えてしまいました。

確かに下山はできるのですが、初めての山であるということ、実はこの時は秋田県で記録的な豪雨が発生して近隣の福島県も天候が悪化する予報でありました。

実際に15:00以降から降雨に会います。

登山地図もスマホに登山アプリも入れていない状態で、昼の12時から6時間かかるコースを選択してしまったことが失敗でした。

・初めての登山ルート

・天候不順になる可能性

・12:00から6時間程度かかるルート選択

・地図も登山アプリもない状況

・すでに磐梯山に登っており体力的には万全ではなかった

こういう状況で登山を選択したのは判断ミスした。

 

参考サイト:

ヤマップ 磐梯山

 

 




 

 

自力下山の理由

猫魔ヶ岳

[2023.7福島県猫魔ヶ岳 猫魔ヶ岳山頂]

猫魔ヶ岳⇔雄国沼ルート断念

13:00から猫魔ヶ岳から雄国沼ルートへ登山開始。

天気もあまり良くないので一つのルールを定めました。

15:00までに大雨が降ってきたら途中下山

15:00までに雄国沼にたどり着きそうになかったら途中で下山

14:00前に猫魔ヶ岳に登頂。

天気も悪くなってきていましたが、まだ雨は降ってこない。

猫魔ヶ岳登頂で下山すれば良かったのですが、さらに奥に進んでしまいました。

15:00まで進んだところで雨が降り始めます。

また、猫魔ヶ岳登頂以降からから登山客と全くすれ違いません。

雄国沼にもたどり着きそうになかったので下山を決定し、反対ルートから再度猫魔ヶ岳に登ります。

 

遭難道中

ここから私の心理状況です。

「あれ?おかしい?登山口に戻り始めたのに一向に猫魔ヶ岳にたどり着かない...」

「歩いた記憶のない道を進んでいる気がする」

「雨が強くなってきた」

「もう16:00でちょっと急がないと危険だ」

「あっおかしい。こんな長い下り道は無かったはず。なにか変だ?あれ、遭難してる?」

「もう一度登るルートを戻ろう。体力的に疲れて来ている。」

「背中がゾワゾワ~ッって二度三度するけど、これって猫又か?」

「雨が強くなってきた。雨具を着よう」

「最悪ビバークかぁ。いやぁ、まずったなぁ。水が無いぞ」

「腹が減った。水も少ない。非常食の羊羹を食べよう。」

「羊羹食べると落ち着くなぁ。よしもう一個。ぱくぱく」

「スマホを見よう。電波が無い....やばい...」

「電波が通じる高い位置まで再度登ろう」

「厩岳山?なんだこの山?こんな山登ってないぞ。あぇ、これ完全にルートを見失っているわ」
※厩岳山という隣の山を登っていました

「あぁ、17:00だ。日が暮れてきた。危ない。雨も更に降ってきた。」

「このデカい岩はなんだ?こんな岩なかったぞ」
※この岩は猫石といって猫魔ヶ岳の名前の由来になった妖怪猫又が封印されている巨石とのこと

「なんとか電波の着く稜線までたどり着いた。電波はあるが警察に電話するほどの状況でもないよなぁ。恥ずかしいしよなぁ。」

「よし、登山アプリをダウンロードしよう。ん?ダウンロードにはグーグルIDとパスワードが必要?俺のパスワードってなんだっけ?パスワードないと、アプリもダウンロードできないじゃん。ヤバイヤバイ」

「パスワードをなんとか思い出せたわ..って、電話状態が悪くてダウンロードが一向に始まらないじゃん。」

「ヤマップやヤマレコは事前にダウンロードしておけば良かった」

「18:00かよ。暗くなってきた...。ヘッドライト持ってきて良かった。電池は大丈夫かな?確か先週新しい電池に入れ替えたはず。」

「ヤマップのダウンロード終わった。ここからまた猫魔ヶ岳の地図をダウンロードしなきゃならないのかよ。電波状況が悪いのでダウンロードに時間がかかる。スマホの電池が心配」

「やっとヤマップの猫魔ヶ岳の地図をダウンロードできたわ。よし現在位置を確認しよ。現在地をクリック。?!?!」

ここで衝撃の事実が確認できました。

私は下山していると思っていた方向がまるっきり逆方向。

「えぇ?俺、完全に逆方向を進んでいたの?そんなことある?!」

「これが遭難か!」

つまり、私は下山するつもりが、さらに奥にある雄国沼を目指して進んでいたのです。

その過程でルートを見失い厩岳山という別の山にも登山していました。

ヤマップという登山アプリをダウンロードした以降は現在地と方向を把握できたので、無事下山ルートに乗ることができました。

この時点で19:00。

もう真っ暗です。

 

参考サイト:

ヤマップ 猫魔ヶ岳⇔猫石⇔雄国沼一周

猫魔ヶ岳の化け猫について

 

猫魔ヶ岳

[2023.7福島県猫魔ヶ岳 闇の中の下山の様子]

この画像が闇夜の下山の様子です。

流石の私も猫魔ヶ岳という妖怪猫又がいる伝説の山なので、恐怖を感じてしまいました。

こういう時はヘッドライトを足元だけを照らすのです。

奥20-30mを照らすと、ヘッドライトの光が闇に吸い込まれて恐ろしくなります。

ですので、自分の足元だけを照らします。

登山道を踏み外していないか?

時折、スマホを見て大まかなルートを外していないか?

ひたすら転ばないように自分の足元だけを照らしてください。

そして、20:30雨の降りしきる中、なんとか車の置いてある登山口まで下山できました。

疲れました...

 




 

 

反省点と良かった点

今回の遭難劇の中で、私自身の反省と振り返るポイントがありました。

反省点は上の章で述べましたが

・無計画

・準備不足

・天候不順

初めての山を地図も登山アプリもなく、天候不順の中での強行軍。

磐梯山下山時と猫魔ヶ岳登頂時の二度あった下山のタイミングを誤ったこと。

反省点です。

 

そして、良かった点は以下の3点でしょうか。

・山頂を目指す

・最低限の準備

・落ち着く

山頂を目指す

ルートを見失った時に山頂を目指したこと。

そして電波を拾い登山アプリヤマップをダウンロードできたこと。

 

最低限の準備

非常食

雨具

ヘッドライト

の3点セットを持っていたこと。

特にルートを見失った時に食べる羊羹は心を落ち着かせてくれます。

胃にものがあるということは、人に冷静さを取り戻させる方法であると実感しました。

 

 

落ち着く

上でも書きましたが、最悪はビバークするつもりでした。

雨具があれば、体温をかなり維持できます。

個人的にはあまり慌てなかったと思いますが、ひょっとしたら動転していたのでしょうか。

なお、電波のあるところまで登り直し、登山アプリをダウンロードできたことが良かったです。

また、7:30-20:30まで山道を歩き続けた体力があったのも良かった。

あとは、最近は内地でもツキノワグマの被害が散見されますが、もしツキノワグマと遭遇した際も対処できそうな根拠のない自信があったのも良かったかもしれません。

クマに関してはあまり恐怖はありませんでした。

それよりも、時折背中がゾワゾワしたのが怖かったです。

猫魔ヶ岳には妖怪がまだいるような、そんな気がします。

 

私がルートを見失ったのも妖怪猫又が私と一緒に夜の星空を見たかったからかもしれません。

というのも、22時になると雨が上がり星空が見えてきたのです。

「あぁ、ひょっとしたら猫魔ヶ岳の猫又が俺と一緒に星を見たかったから、俺は遭難させられたのかな。雨も止むのなら一晩くらいビバークしても良かったかもしれない。」などと余裕がでてきたので思ってしまいました。

 

以上、福島県猫魔ヶ岳での遭難の記録でした。

貴方も夏の山に登る際は「雨具」、「非常食」、「ヘッドライト」の3点セットがあれば一晩くらいならなんとかなると思います。

いってらっしゃい。

 

関連記事:

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したっけぃ

  • この記事を書いた人

モーリー

東京からUターンして、2015年から北海道で狩猟しています。趣味は旅、料理、読書、アニメなど。仕事は元絵描きで環境調査、インバウンドなど。 ブログは狩猟を軸に、自然と人の折り合いのつけ方、本質的な豊かさの模索をテーマにしています。

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