2018-09-04 No.278
どうも、モーリーです。
日高山脈えりも国定公園の中に唯一の自然湖、
豊似湖という湖があります。
前回はこの豊似湖を縁結びのパワースポットとして紹介しました。
この記事では、
豊かな自然環境を提供する湖としての面を紹介します。
豊似湖の生き物たち
[2018.9北海道日高 豊似湖 透明度が高く、水温は低い]
豊似湖は日高山脈の中腹に位置し、
いずれの川とも繋がっていない内陸湖です。
岸辺にはヨシやガマといった、
水際を好む植物も生育しておらず、
水は湧水由来で水温は低く、
独特な環境を持っている湖です。
周辺にはガレ場があり、
深い針広混交林に囲まれた、
静寂な湖です。
その湖を拠り所として、
多くの生命が息づいています。
ナキウサギ
[2018.9北海道日高 豊似湖周辺のガレ場 ナキウサギが生息する]
ナキウサギ(Ochotona hyperborea yesoensis)はこのようなガレ場が好きです。
撮影はできませんでしたが、
時折鳴き声が聞こえてきます。
ナキウサギは氷河期の生き残りです。
ここ1万年ほどは間氷期という
氷河期と氷河期の間の温かい時代です。
そろそろ氷河期がやってきそうです。
ひょっとしたら、
私たちホモ・サピエンスよりも
長生きするかもしれません。
ザリガニ
[2018.9北海道日高 豊似湖 二ホンザリガニ]
岸の石を静かにめくると、
ザリガニ(Cambaroides japonicus)がいました。
ハサミが小さいので、
魚やキツネに狙われて逃げきった個体かもしれません。
ザリガニはトカゲの尻尾の様に、
自らハサミを切り離して、
逃げることがあります。
ザリガニも必死で生きています。
魚類
[2018.9北海道日高 豊似湖 イトヨ]
岸辺をイトヨ(Cambaroides japonicus)が泳いでいました。
孤立した内陸湖ゆえに、
やや独特な進化を遂げているのかもしれません。
1929年にこの湖にニジマスを放流したとの記録があります。
WEBで検索するとブラウントラウトが釣れた、
との記事も見つけました。
釣り人が放流したのでしょう。
ニジマスもブラウントラウトも外来種です。
なんでも食べる魚で、
そこの環境を激変させる種です。
放流は当時は食べるため
仕方のないことだったのでしょうか。
外来種が放流される前の豊似湖は
どのような魚類がいる環境だったのか、
見てみたかった。
キタキツネ
[2018.9北海道日高 豊似湖のガレ場 キタキツネ]
[2018.9北海道日高 豊似湖 キタキツネ]
湖の周りをキタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)が歩いていました。
エサを探しているのでしょう。
この辺りは鳥獣保護区で狩猟が禁じられています。
撃たれる心配もないため、
人がいても恐れないようです。
神の沼(カムイトゥ)
[2018.9北海道日高 豊似湖周辺の山林 遥か遠くに海が見える]
[2018.9北海道日高 豊似湖]
豊似湖にいると聞こえてくる音は、
ナキウサギの鳴き声、
エゾアカゲラの木を突く音、
魚の跳ねる音。
アイヌの人々はこの湖を『神の沼(カムイトゥ)』と呼びました。
豊似湖では約束があります。
約束
[2018.9 豊似湖前の看板]
豊似湖を訪れる時の約束。
・外から持ち込んだ生物を放流しない
・ここの生物を持ち出さない(ニジマスとブラウントラウトを除く)
・林道以外の道を歩かない
アイヌの人々が神の沼と呼んだこの湖が
末永く静かな湖であっていただくための約束です。
貴方も豊似湖を訪れる時、
この約束と共に来訪していただけると嬉しいです。
したっけぃ