2021-07-02 No.771
どうも、北海道十勝のハンター モーリーです。
2021年6月27日、
世界自然遺産知床がある
北海道羅臼町において
民家の飼い犬3匹がヒグマに襲われ
1匹が亡くなり、2匹が軽傷する事件が発生。
なお、羅臼町では2018年、2019年にも
類似する事件がありました。
事件はいずれも夏に起こっています。
同事件と
ヒグマがなぜ夏に犬を襲うのか
について記録します。
事件概要
日時:2021年6月27日 21:05頃
場所:北海道羅臼町海岸町(以下にgoogle.mapを添付)
内容:
2021年6月27日21時頃
北海道羅臼町海岸町を走る
道道※87号線沿いの民家敷地内で
屋外に繋がれていた中型犬3匹が
相次いでヒグマに襲われた。
犬たちはいずれも背後から
後ろ足付近を噛まれ、
1匹は無くなり、2匹は軽傷を負う。
飼い主が犬の「キューン」という
鳴き声に気付いて外を見ると
ヒグマが犬を襲っていたため
窓を叩くなどして追い払いを試みるも
ヒグマは逃げずに3匹を襲う。
その後、ヒグマは浜伝いに山へ逃げたとのこと。
ヒグマはオスで体重150kg以上。
このヒグマは捕獲されていない。
羅臼町では2018年と2019年にも類似する事件があった。
ヒグマの唾液から
DNA鑑定をしたところ
2018年と2019年のヒグマと
同個体であることが分かった。
※道道:北海道が管理する道。内地でいう県道や府道、都道。
2018年2019年の類似事件 事件は夏に起こる
2018年と2019年にも羅臼町においてヒグマが犬を襲う事件が発生しています。
2019年の事件について拙ブログでも紹介しています。
関連記事:
【事故記録】2019.7北海道羅臼ヒグマ連続イヌ襲撃事件
夏に腹を空かせるヒグマ
ヒグマは夏になると特に腹を空かせます。
冬眠明けは
春の山菜を食べられます。
秋になると山ブトウやドングリ、
サケの遡上などでエサが豊富です。
夏の期間はエサが豊富な時期と
思うかもしれませんが、
実はヒグマにとって一番厳しい時期です。
夏にはヒグマは少なく
アリなどを食べて過ごしています。
今回犬を襲ったヒグマは
2018年と2019年の犬襲撃事件と
同個体であることがDNA鑑定から
分かっています。
エサの少ない夏に犬を食することで
空腹を満たそうと学習したのだと思われます。
自然豊かな世界自然遺産の
知床とはいえ、
全てのヒグマを山の恵みで賄うには
至らないようです。
以下の動画はヒグマがアリの巣を掘って食している様子です。
2017年8月に私が知床で撮影したものです。
やや見にくい動画ですが
ヒグマが力強く地面を掘っている様子が伺えます。
あまり知られていないことですが、
ヒグマは非常にアリを好んで食べます。
参考サイト:
天塩研究林におけるヒグマのアリ食について 北大ヒグマ研究グループ3年 三枝弘典
対策
対策もブレインストーミングしてみました。・同地区での犬の飼育を禁止する
・知床羅臼町では7月8月は飼い犬は放し飼いにする
・知床羅臼町では7月8月は飼い犬は屋内で飼育する
・世界自然遺産内ではヒグマの駆除は難しいことから、自然遺産区域外際においてヒグマの駆除を積極的に実施する。上記図を見ると羅臼町の海岸線は世界自然遺産の区域外であることから、駆除も可能である。尚、同駆除の情報発信は行わなず、知床財団が業務としてハンターを雇い駆除を実施する。
などをブレストしてみましたが、実施は難しいですね。
個人的には犬の放し飼いが好きな案です。
放し飼いにされた犬がいると
ヒグマも周辺に近寄り難い環境をつくれます。
イヌは元来人の集落の周辺に生息し
野生生物の集落への
襲撃を軽減させることで人との
関係を築き、今の人と犬の関係構築に至ります。
関連記事:
イヌ ヒトと共に歩む15000年 イヌがいたからヒトの文明がある
ただし、犬に寄る人や野生生物への
被害発生の可能性を勘案すると難しいかなと。
現実的な対応としては、
羅臼町海岸町付近では
夏の犬の飼育を屋内に限ると
条例を制定するくらいでしょうか。
人と野生生物との折り合いをつけること。
本当に難しい問題です。
このブログを通じて貴方と共に学んでいければ幸いです。
したっけぃ
調べてみるとステンレス製の犬小屋があるのですね。硬度が分かりませんが、これならヒグマによる襲撃も防げるかもしれません。