2021-06-19 No.769
どうも、北海道十勝のハンター モーリーです。
2021年6月18日、札幌市住宅地に
ヒグマが出没し4名を襲うという事件がありました。
ヒグマは即日駆除されました。
今回の事件は重症者もいますが
4名の命に別状はありませんでした。
時間的にも登校中の児童・生徒たちなど
子供たちが襲撃される可能性も
ありましたが、その事態は避けられました。
2021年6月18日に
北海道札幌市で発生した
ヒグマ襲撃事件の概要と
事件の特徴や気になったこと
札幌市が発表するヒグマ情報などについて整理します。
なお、多くの事件は数年も経つと
風化し忘れられてしまいます。
このブログでは狩猟や野生動物による
ある程度大きな事件事故や気になる件は
記録し残していこうと思います。
関連記事:
ツキノワグマやヒグマの捕獲数が増加している件 2019年は5000頭
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日時:2021年(令和3年)6月18日 3時-11時半頃までの間
場所:北海道札幌市東区 駆除現場は丘珠空港付近
内容:
2021年6月18日、未明3時頃から地元警察署へ札幌市東区北31条東19丁目の路上でヒグマが「クマが南の方向へ走っていった」との目的情報が寄せられる。この通報を皮切りに通報は10時までに30件以上があった
6時前に最初の通報があった現場から南に1kmほど離れた現場(東区北19条東16丁目付近)で、70代男性と80代女性が襲われて軽傷
7:15頃、住宅地(東区北33条16丁目付近)を歩いていた40代男性を背後から襲い肋骨を折るなどの重症
7:40頃、陸上自衛隊丘珠駐屯地の正門前で門番の自衛官も襲われ軽傷を負わせる。以上、合計4名が襲われた
以降、同ヒグマは半径2kmの範囲を歩き回る
8:00頃、丘珠空港の滑走路を歩く姿が目撃される
9:00頃、丘珠空港から北東1kmほど離れた札幌市東清掃事務所付近で目撃される
11:20頃、札幌市東清掃事務所付近の茂みにいた同ヒグマを地元猟友会が駆除。発砲はとどめの一発を含めて5発。全弾同ヒグマに命中。
同ヒグマは体長1.6m、体重158kg、5-6歳のオス。
この事件の影響で一部学校は休校措置をとり、丘珠空港を発着する8便が欠航。グラウンドに同ヒグマが現れた栄南中学校では始業時間を昼以降に変更する措置をとった。また、札幌市も周辺住民へ自宅に留まるよう呼びかけた。
札幌市でのヒグマによる事故は2001年の南区の山中で起きた死亡事故依頼20年ぶり。
襲われた70代男性の話「ごみ出しをしようとしたところ自宅前でクマと鉢合わせになり、背中などを爪で引っかかれた。住宅の隙間をすり抜けるようにして突然現れ、クマが自分の体を踏み越えようと乗しかかってきて、爪を立ててきた。病院で手当てを受けたが、出血がまだ止まらない」とのこと。
北海道大学金川弘司名誉教授は「市街地に出没したことから、好奇心の強い若いヒグマ。山の近くまで住宅が建ち、クマの生活圏との境界線が曖昧になっているが、クマがいる場所に住んでいるという自覚を持つことが大切。人に危害を与えるクマは一度山に返してもまた戻ってきてしまうので、駆除はやむを得ない。対策としてはクマの餌となる放置された果樹を伐採したり、生ゴミを放置せず荒らされないようにすることだ」と語る。
参考文献:
少数飼育下におけるエゾヒグマの性行動 金川弘司・坪田敏男(北海道大学獣医学部)
間野勉氏(北海道立総合研究機構専門研究主幹)は、今回のヒグマについて、映像から判断して若いオスと見られ、札幌市から北東に数十キロほど離れた山から石狩川を越え、水路などを伝ってやってきたと推測している、とのこと。
「札幌市では5月末から6月はじめに北区の茨戸公園でクマが確認されていたが、その個体が南下して市街地までやってきたのではないか」と述べ、このクマがすでに半月前から札幌市内に入り込んでいた可能性を指摘する。
「重要なことは、クマが市街地の周辺までやってくるようになったのは、今に始まった話ではないということ。ヒグマの個体数は増加し、生息域は年々拡大していて、今回の事態は、住宅地でもヒグマの侵入があり得ることを突きつけた」と話す。
間野主幹は、もし市街地でヒグマと出くわしてしまった場合、背を向けず、刺激しないようにして静かに離れてほしいとした上で、「市街地に侵入してからでは駆除などの対処が難しいので、そうなる前にリスクを減らす必要がある。生ゴミの管理や、ゴミステーションをクマが壊せないものにするといった対応を進める必要がある」と予防策の重要性を説く。
参考文献:
捕食者としてのヒグマ 間野勉(北海道環境科学研究センター)
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東京都23区の面積は628k㎡の約2倍。
全東京都(八丈島等含む)は面積2,194k㎡の半分です。
南には国立公園の支笏湖があり
南東にはニセコや羊蹄山があり、
風光明媚な都市といえます。
その年に974,712世帯、1,976,787人(2021.6.1時)が住んでいます。
人口も微増の傾向が続き、今も巨大化している北の一大都市と言えます。
世界初のバーチャルアイドル初音ミクも札幌で誕生しており、クリエイティブな都市としての一面もあります。
一方、
上記図のように札幌市内の3/2程度は
山と緑に覆われている
自然豊かな都市であり
その山野にはヒグマも多く生息しています。
人口200万人を擁する都市圏に
ヒグマの生息地が隣接しているケースは
世界を見渡しても見つかりません。
今回の事件を機に 改めて
札幌市は人と自然が共存している
豊かな都市であると実感しています。
関連記事:
・東区でのヒグマ事件発生
・ヒグマが人を襲った件
の2点だと思います。
上記図面は
赤枠黄色塗:ヒグマの目撃例が多い南区と西区
赤枠赤色塗:今回の事件が発生した東区
を図示しました。
また、ヒグマが駆除された
現場の丘珠空港付近も
赤丸で示しています。
このように南区・西区と東区は
ススキノやテレビ塔がある札幌の
中心部を挟んで対面する位置関係です。
南区と西区、東区のヒグマ状況について記します。
なお、参考資料として札幌市が発表している資料(※後述)を基にしています。
札幌では南区と西区では
ヒグマの目撃例は珍しいことではありません。
私自身、札幌市西区西野に
住んでいたこともあるので、
ヒグマが出ても「まぁ出るだろうな」
との感想を持っています。
上記図面で分かるように、
南区と西区はその大半を山野に覆われ
支笏洞爺国立公園や
ニセコや羊蹄山といった自然豊かな
土地と直接繋がっています。
特に南区はヒグマの生息域と言っても良い環境です。
2020年の札幌市の資料によると、
札幌市内でのヒグマ出没数は95例。
95例中南区は73例、西区が11例と
この2区だけで札幌でのヒグマ目撃例の
88%を超えます。
ちなみに、今年の一番最初の目的例は
2021年3月27日10:22に
西区西野で目撃されています。
冬眠明けのヒグマが西区で
エサを探している様子が
資料から読み取れます。
しかし、今回の事件は東区で発生しています。
2020年の資料を見ると
東区では6月に1例の目撃例がありました。
東区ではヒグマの目撃例は少なく、
目撃例がない年もあるでしょう。
その東区においてヒグマが現れたことに
札幌市民は驚いています。
どのようなアクセス路でどこから来たのか?
東区の北側の北区にある
茨戸(ばらと)川近くの
波連湖(はれこ)に
5月29日にヒグマの目撃例があり
今回のヒグマはその同個体
である可能性が高いかなと。
この事件一報を聞いて、
当初は南区から豊平川を歩いて
東区に来たのかなと思い図面でも
豊平川と石狩川を図示しましたが、
恐らく違いますね。
このヒグマは北側からやってきた個体の可能性が高い。
南区や西区によく現れる
グループの一個体とは異なる、
別のグループの一個体かなと考えています。
だから、南区や西区に現れるヒグマとは
気性が違うのかもしれません。
今回は人を襲っていますし。
今年の秋は札幌の北方に狩猟にでて
現地を確認したいと思います。
どちらにしても、今回のヒグマが
どこから、どのようにやって来たのか、
今後の調査結果を待ちたいと思います。
映像をみると道を歩く無警戒な人を
背後から襲っています。
ヒグマが人を襲うということは
ヒグマが興奮していたことを示唆します。
昨年の南区でのヒグマは
徘徊するのみで人を襲っていません。
HBC※放送など一部メディアによる
ヒグマを車で追い回した行動が
ヒグマを興奮させたという話もでています。
もし、そうであるならばメディアの
野生動物取材対応については
警察や行政などがマスコミの行動を
迅速に制限できるようなガイドライン
策定の必要性を感じました。
ヒグマが興奮状態だったのか否か
もしそうなっていたのならば
なぜ興奮状態になったのか?
その調査結果も待たれます。
※HBC(Hokkaido Broadcasting Co)北海道放送の略。特にHBCラジオではカーナビラジオなど道民に親しまれる長寿番組を多数輩出している。山根あゆみちゃんと大森が好き。
関連記事:
【事故記録】2019.8札幌南区ヒグマ徘徊事件 概要と今後の対応
この事件では駆除の決定の意思決定が
素早かったことに驚いています。
やはり、4名が実際に襲われたのが理由でしょう。
昨年の札幌でのヒグマ徘徊事件の時は
駆除の決定までに2-3週間ほど
かかっていたような気がします。
朝3時の最初の通報があり、
6-7時頃にヒグマによる襲撃が発生。
駆除したのが11時半前なので
行政による駆除(住宅地での発砲)の
決定は会議を経ずに、担当者が即断したと思われます。
詳しくは忘れましたが、
住宅地での駆除には(厳密には)
地元警察署の所長の許可
北海道知事の許可が必要なので
その許可確認をとるのが大変です。
実際には現地にいる警察官が
許可をだしている体をとります。
最近は色々あり警察官の許可確認を
書面で貰うか音声で録音するなど
のケースもあります。
参考サイト:
関連記事:
【事故記録】2018.8北海道砂川市猟銃所持許可取り消し事件 その1 そして裁判へ
今回気になった件は
丘珠駐屯地の門番の自衛官が
襲われたケースです。
詳しくは分かりませんが、
自衛隊施設の門番の方は
自動小銃を持って施設を守っていると思います。
なぜ撃たないの?!
自分の身すら自衛できずに
なにが自衛官か!と思います。
なぜに銃を持って門を守っているのだ、と、
私は学生時代をアメリカ合衆国で
生活しているので、一般の日本の方とは
感覚が違うのかもしれませんが、
今回は発砲してヒグマを制するケースだろうと思います。
今回のケースではアメリカだったら
ほぼ確実にヒグマに発砲していたと思われます。
アメリカやフランスでは凶悪犯などは
現場で射殺するケースも多いので、
今回のケースは対象がヒグマでしたが
日本もそれらの国に倣うことを検討する
状況になってきたのかもしれません。
まぁ、とは言っても
私が自衛官で門番だったとして
やはり発砲はできなかったと思います。
それは現場の自衛官の行動を縛る
法律や内規が厳しいためです。
この事件を契機に
自衛官や警察官の現場での
発砲判断の自己裁量権を拡大できるよう
関連する法整備や自衛官や警察の内規を是正して欲しいと思います。
また、
今後の住宅地でのヒグマの駆除は、
熟練ハンターにアドバイスを貰いつつ
警察官や自衛官にライフル銃を持たせて
駆除させるスタイルがいいかもしれません。
最初は混乱するでしょうが、慣れるものです。
実際にどうなったのかは分かりませんが
今回のようにニュースなどに
取り上げられたヒグマを食用に回すと
お叱りを受けるケースもあるので、
近隣の獣医学科がある大学、札幌だと
酪農学園大学や北海道大学などに献体されていると思います。
普通は駆除されたヒグマは
ハンターたちが食べたり売ったりしています。
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以下に紹介するサイトは
札幌市が出しているヒグマ関連の情報です。
有益な資料が多いので特に札幌市民の方々はご参照ください。
参考サイト:
札幌市 ヒグマ出没情報
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2021年6月18日は忙しい日でした。
札幌ではヒグマの襲撃事件と全裸マスク男や忍者も現れ大混乱。
北海道を舞台にした漫画ゴールデンカムイを地で行くような一日でした。しかも、そのゴールデンカムイ26巻も同日発売。
一方、将棋界では棋聖戦が行われ藤井棋聖が渡辺名人に対し圧巻の2連勝し、来月はあの教育委員会がある旭川市で藤井棋聖が豊島竜王と王位をかけて激突。
そして、8月5-8日にはオリンピックの競歩とマラソンが行われる嵐の予感。
試される大地北海道は確かに試されているな~と実感する日でした。
6月20日には非常事態宣言も開けるので貴方もケイオス北海道まで遊びに来てください。
したっけぃ