2025-09-19 No.1190
どうも、北海道十勝のハンターモーリーです。
日々日々、なにかしらの事件があるものです。
お陰様でこのブログの記事もネタにことかきません。
2025年9月に札幌市内のゴルフ場において、ヒグマ駆除の資格を持たない猟師がヒグマを駆除する事件が発生しました。
ヤフコメや猟銃を持たない人の話を聞くと「エゾシカ駆除中に突然ヒグマがでてきたなら、ヒグマ駆除資格を持たないとしても発砲はしかたない」という意見が多いようです。
一方、猟銃を持ち、護衛の仕事もたまに受ける私からすると、このハンターには「意図的な過失がある」と思っています。
あくまで、"報道から読み取れる情報によると"という但し書きが必要にはなりますが。
実際にはゴルフ場管理者とハンターの間でどのようなやり取りがあったのか知る由もないため、報道から知れる情報を元に整理します。
事件概要と感想を記したいと思います。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
事件概要
日時
2025年9月4日 12時頃
場所
北海道札幌市南区ゴルフ場 滝のカントリークラブ
内容
2025年9月4日正午頃、北海道札幌市南区のゴルフ場「滝のカントリークラブ」において、3日連続で同じ場所にヒグマが出ていたことから、4日11時ごろ敷地内にヒグマが出没見回りを行っていたハンターがヒグマ1頭を駆除。
札幌市によるとハンターは市が駆除を委託している猟友会に所属しておらず、クマを駆除する許可は得ていなかった。
利用客や従業員は屋内に退避し、確認に行ったハンターが4~5メートルの距離から迫ってくるヒグマに発砲した。
ゴルフ場によると「餌になるものがあるのか確認を依頼した。危険な場所に行ってもらい申し訳なかった」と話した。
数日前からコース内でヒグマの目撃が相次いだことから、普段シカの駆除を依頼しているハンターにエサなどがないか見回りを行ってもらったところ、急にヒグマが現れてハンターに向かってきたため猟銃を使って駆除したということ。
ハンターは身に危険が及んだと判断して「緊急避難」措置として発砲したとみられる。
このハンターはシカを駆除する許可は得ているものの、市がヒグマの駆除を委託している猟友会に所属しておらず、クマを駆除する許可は得ていなかった。
道警や市などは現場検証を行った。
鳥獣保護管理法に基づきシカを駆除する権限はあったが、クマ駆除の権限はなく「目的外の猟銃所持」として同法違反に当たる可能性がある。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
感想
[2025.9北海道十勝 駆除用罠の中にいるヒグマの背中]
感想を書くにあたって
当初、この「感想の章」を書くにあたって、狩猟と有害駆除の違い、札幌市南区のヒグマ生息状況などを把握しないと本事件の把握は困難であると思っていましたが、膨大なテキストになってしまい、うまくまとめられなかったので断念しました。
・狩猟と有害駆除の違い
・有害駆除の許認可について
・ゴルフ場(滝のカントリークラブ)がある周辺でのヒグマ生息状況
上記については把握したい事件です。
そのうち、書きたいと思います。
特に「狩猟と有害駆除」の違いはよく分かっていない方々が多いと思います。
主にヒグマ対応にあたる実施隊員は公務員であることも知られていません。
「趣味の団体の猟友会に負担をかけるな!」的な意見も散見されますが的外れな意見だなと感じています。
この辺りはおいおい書いていきます。
で、話戻ってこの事件の話し。
関連記事:
事故記録 2021年6月札幌市ヒグマ襲撃事件概要・札幌市とヒグマの関係について
事件感想
この事件で問題となっているハンターを仮にF氏とします。
1.F氏は猟友会に所属していない
2.F氏は札幌市からエゾシカの有害駆除の許可を得ていた
3.F氏は以前から同ゴルフ場のパトロールをしていたらしい
4.同ゴルフ場にヒグマが出没するようになった
5.F氏はヒグマが出没するゴルフ場のパトロールを依頼された
6.F氏はヒグマ駆除の許可を得ていない
7.F氏はヒグマが出没するゴルフ場のパトロールをヒグマの餌になり得るエゾシカのパトロールとして依頼を受けた
8.パトロール中にヒグマが出没し「緊急避難」的にヒグマを駆除した
1から8までが、事件の流れです。
内地の方でしたら、「札幌は大都市だから市内のゴルフ場でヒグマなんて出没するはずがない」と思い、今回の許可外駆除も「突然の偶発的出没」なら仕方ないと感じると思います。
実際には、札幌はヒグマの生息地と隣接する稀有な都市であり、ヒグマ出没は(南区と西区においては)日常茶飯です。
その現場パトロールの仕事を受けるにあたって、ヒグマ駆除の許可を得ていないのはF氏の落ち度ですし、依頼したゴルフ場の落ち度でもあると考えています。
私がF氏の立場ならこのパトロールは断りますし、時間は掛かりますが【護衛】の資格を北海道庁(北海道知事)に申請します。
もし受けるとしたら、「ゴルフ場にヒグマの罠を設置したので、その罠の誘引用としてエゾシカを獲ってきてほしい」という依頼でしたら「獲ったエゾシカを罠に置いておきます」というように受けていると思います。
F氏はご自身でヒグマ駆除許可を持っていないことを知っているのですから、この仕事は断るべきでした。
恐らくF氏はヒグマを駆除することもあるかもしれないとの想定の上で、この仕事を受けていると思われますので「意図的な過失がある」と考えています。
私達ハンターは猟銃を特別に所持許可されている以上、ルールを厳守する姿勢が求められるのです。
ヒグマの有害駆除捕獲許可を持っている優秀なハンターは札幌周辺にも沢山います。
エンビジョンという組織に相談するのもありです。
ここは優秀なハンターたちとの繋がりがある有害鳥獣対策や環境調査に特化した専門家たちがあつまる法人なので、札幌近郊で有害対策が必要な際は相談窓口になると思います。
もしよろければ、ここハンター日記からも若い優秀なハンターを紹介できるので上の【問合せ】から連絡ください。
参考サイト:
NPO法人 エンビジョン環境保全事務所
この事件、実際には猟銃所持取り消しにはならず、有害駆除許可も取り消しにはならないと思います。
有害駆除許可を出している札幌市の担当課から注意を受ける、あたりが落とし所になると思います。
自治体には厳罰の対応を望みたいですが、難しいと思います。
私達ハンターは猟銃という危険な武器を特別に許可を受けて所持しています。
その私達は一般の方々よりも高いモラルを持ち、ルールを守り、人々に信頼されるよう言動も態度も慎まなければなりません。
今後とも自治体や警察、公安委員会と足並みを揃え、正すべきは正し、有害鳥獣対策にあたりましょう。
北海道で暮らす人々が安心して過ごせるために、そして動物たちの共存を思いながら有害鳥獣対策に臨みたいと思います。
したっけぃ
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});