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【事故記録】カモシカ救出猟師死亡事件とその後

2020-11-05 No.645

2020年10月2日、
愛知県新城市において
罠にかかったニホンカモシカを
逃がそうとした猟師(70男性)が
カモシカに太ももを角で刺され
死亡した事件がありました。

最初にこの一報を聞いた時は
悲しく感じましたが、
ある意味猟師として
理想的なあり方だなと感じました。

ご冥福をお祈り申し上げます。

 

事故概要とニホンカモシカ、
その後の殺処分と抗議運動について
記しました。

 



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事故概要

日時:2020年10月2日8時頃

場所:愛知県新城市黄柳野(つげの)の山林

内容:
地元猟友会男性70代が
シカの罠に掛かったカモシカを発見し
逃がそうとした所、
太ももを角で刺された。

男性は山を下りながら
家族と連絡を取り、
病院へ運ばれたが
二時間後に出血性ショックで死亡した。

カモシカはオスで
体長90cm、体高は70cmほど。

同月5日、
同カモシカは
愛知県と新城市の指示で
殺処分された。

 



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ニホンカモシカ

[ニホンカモシカの切手]

二ホンカモシカ(Capricornis crispus

大きさ:110cmほど

分布:日本固有種で北海道以外に生息

食性:草や木、果実など。ササやスゲなども。

繁殖:10-11月に交尾。妊娠期間は215日程度と長い。一回に一頭を産む。毎年の出産は少ない。性成熟はオスで3年、メスで4年。

寿命:15年ほど

性格:好奇心が強い

生息数:80,000頭以上

備考:北海道には生息しない。青森県には生息する。

 

ニホンカモシカ(以下、カモシカ)は
1955年に特別天然記念物に指定され
一時は絶滅も危ぶまれていた動物です。

環境省の
レッドデータブック※には
記載されておらず、
日本全体としては
絶滅の危険は薄れました。

一方、九州や四国、紀伊山中などに
生息する個体群は
絶滅の恐れもあるとされ、
各都府県が設けるレッドデータブックには
記載されている地域もあります。

※レッドデータブック:
絶滅のおそれのある野生生物に関する保全状況や分布、生態、影響を与えている要因等の情報を記載した資料

 

参考文献:
第二種特定鳥獣管理計画(カモシカ管理) 愛知県

カモシカの保護管理に関する研究 2019年1月 常田邦彦



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事故とその後

事故三日後の同月5日に
愛知県と新城市が許可を与え
カモシカを殺処分しました。

新城市農業課鳥獣被害対策担当者は
「カモシカは普段は大人しいが、
発情期のオスは10-12月は興奮する
こともあり殺処分した。」とのこと。

この他にも、
カモシカによる農業被害があり、
遺族の感情を勘案して
愛知県と新城市は
殺処分をしたと思われます。

カモシカはシカと同じように
人を襲うことはありませんので、
私ならカモシカを罠を外そうと試みた
猟師の気持ちをくんで放獣するかなと。

ただし、
殺処分もある程度
妥当性のある判断だと思います。

 

蛇足になりますが、
この事件はその後少し注目されます。

殺処分を決定したことに
一部市民による抗議活動が起こり
警察が動く事態まで発展したことです。

調べてみると、
殺処分を決定した
愛知県大村秀章知事や
新城市穂積亮次市長は、
いずれもリコール運動を起こされているとのこと。

新城市の市長にいたっては
過去に服役していた経歴もあるようです。

こういう事も背景としてあるために
抗議運動が激しくなったのかなと。

したっけぃ

 

モーリー

東京からUターンして、2015年から北海道で狩猟しています。趣味は旅、料理、読書、アニメなど。仕事は元絵描きで環境調査、インバウンドなど。 ブログは狩猟を軸に、自然と人の折り合いのつけ方、本質的な豊かさの模索をテーマにしています。